EUにおける中絶へのアクセス改善に向けた市民イニシアチブ、欧州委員会と協議

編集者: Татьяна Гуринович

2025年10月、欧州市民イニシアチブ「私の声、私の選択:安全でアクセス可能な中絶のために」の代表者たちが欧州委員会と会談し、EU全域での安全な中絶サービスを支援するための財政メカニズムに関する提案について協議しました。このイニシアチブは、2024年4月に開始され、19の加盟国から1,124,513件の署名を集めました。

このキャンペーンは、加盟国が任意で参加できるEUの財政支援メカニズムの創設を目指しています。これにより、加盟国は、厳しい法律や良心的理由により中絶を受けられない人々に対し、その費用を負担することが可能になります。この提案は、一部のEU諸国における生殖の権利の後退に対する懸念の高まりに対応するものです。

ポーランドでは、中絶はレイプや母体の生命・健康への危険がある場合にのみ許可されており、非常に厳しい状況にあります。マルタでは、中絶はほぼ全面的に禁止されており、例外的な状況を除いて、中絶を求める女性は最大3年の懲役刑に処される可能性があります。ただし、2023年には、妊娠中の女性の生命を救い、健康を保護するための医療介入を許可する改正が行われました。これは、たとえ妊娠の中断につながる可能性があっても適用されます。これらの状況は、EU全体で安全かつ合法的な中絶へのアクセスを確保することの重要性を浮き彫りにしています。

一方、イタリアでは、60%以上の婦人科医が良心的理由により中絶手術を拒否しており、中絶へのアクセスが困難になっています。また、フランスは2024年3月に中絶の権利を憲法に明記し、世界で初めてこれを実現した国となりました。

欧州市民イニシアチブは、EU市民が政策決定に直接参加できる仕組みであり、100万人の署名を集めることで欧州委員会に法案の提案を求めることができます。「私の声、私の選択」イニシアチブは、2025年9月1日に欧州委員会に提出され、1,124,513件の有効な支持声明が集まりました。欧州委員会は現在この提案を審査しており、2026年3月までに回答が予定されています。この結果は、欧州連合における生殖の権利と中絶へのアクセスに大きな影響を与えるでしょう。

欧州委員会は、EUの外部関係におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関する行動計画の一環として、性的および生殖に関する健康と権利(SRHR)を支援することに強くコミットしています。しかし、EU加盟国間および国内でのSRHRへのアクセスには依然として大きなばらつきがあり、特に脆弱な立場にある人々にとって有害となっています。このイニシアチブは、EUがこれらの課題に対処し、すべての女性が安全で尊厳ある医療を受けられるようにするための重要な一歩となる可能性があります。市民の声を政策に反映させるための欧州市民イニシアチブのような仕組みは、民主主義の深化と、より公平で包括的な社会の実現に向けた希望の光となります。

ソース元

  • Euronews English

  • Meeting of the organisers of the European citizens’ initiative ‘My Voice, My Choice: For Safe And Accessible Abortion' with the European Commission

  • EESC Info April 2025 | EESC

  • EU DECODED: Should access to abortion be harmonised within EU?

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