米国はカリブ海地域における軍事プレゼンスを大幅に強化しており、プエルトリコの旧海軍基地ロベルト・ロドリゲスにF-35B戦闘機、ヘリコプター、V-22オスプレイ、そして多数の軍人を展開しています。この地域には、駆逐艦、強襲揚陸艦、原子力潜水艦も配備されています。国防総省は4,500人以上の兵員をカリブ海に動員しており、これは1980年代以降で同地域における前例のない規模の作戦となります。この軍事活動は、麻薬密売組織の取り締まりを名目としていますが、ニコラス・マドゥロ政権下のベネズエラへの圧力を高める狙いも含まれています。
これに対し、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、国民の「領土、主権、平和」を守るため、ボリバリアン国民民兵約450万人を動員し、全領土の防衛準備を整えるよう呼びかけました。さらに、ベネズエラ軍機2機が国際水域で米海軍の艦船に接近するという事案も発生し、地域の緊張は一層高まっています。国際社会はこの状況を注視しており、一触即発の事態が新たな地域危機の引き金となる可能性も懸念されています。
今回の米軍の展開は、麻薬密売組織、特にベネズエラ軍と関連があるとされる「太陽のカルテル」を標的としているとされています。米国はマドゥロ大統領の逮捕につながる情報提供者に過去最高額の5,000万ドルの報奨金を提示しています。一方、ベネズエラ側は、米国の軍事行動を自国への脅威であり、政権転覆を狙ったものだと非難しています。
ベネズエラはこれに対抗し、ラ・オルチラ島で大規模な軍事演習を開始しました。この演習には12隻の艦船、22機の航空機、20隻の小型ボートが参加しています。コロンビア外相は、米軍の過剰なプレゼンスがラテンアメリカの安定を損なうと批判しており、地域全体の緊張が高まっています。専門家は、麻薬密売に対する死刑という米国の対応に疑問を呈しており、今回の軍事行動が単なる麻薬対策を超えた意図を持つ可能性を示唆しています。
米国は、ベネズエラとの関係悪化を受け、カリブ海地域における軍事プレゼンスを継続的に強化する姿勢を示しており、地域は依然として潜在的な火種となっています。