トルコのエルドアン大統領とジョージアのミヘイル・カヴェラシヴィリ大統領は、2025年8月12日にアンカラで会談し、地域における平和と協力を促進するための重要な一歩を踏み出した。この会談は、両国間の戦略的パートナーシップをさらに強化し、複雑化する地域情勢への共同対処を目指すものであった。カヴェラシヴィリ大統領にとって、ジョージア大統領としての初の公式外遊先がトルコであったことは、両国関係の緊密さを示す象徴的な出来事と言える。
会談では、ウクライナにおける紛争やガザ地区の人道危機といった、現在進行中の地域的な課題が中心的に議論された。両首脳は、外交政策と安全保障における三者間協力の枠組みの重要性を強調し、地域全体の安定に寄与する連携の強化を確認した。特に、トルコ、ジョージア、アゼルバイジャン間の三者協力は、南コーカサス地域における安全保障、経済発展、そして連結性の強化において不可欠な要素となっている。この枠組みは、2012年のトラブゾン宣言で正式化されて以来、地域プロセスにおいて重要な役割を果たしており、両国首脳は、この協力関係が地域全体の安定に貢献するという共通認識を共有した。エルドアン大統領はまた、アハルツィヘ・トルコ系住民(アハスカ・トルコ人)の故郷への尊厳ある安全な帰還に向けたトルコの継続的な支援を改めて表明した。これは、1944年にスターリン政権下で故郷から追放された彼らの歴史的な帰還を支援する、トルコの長年にわたる人道的コミットメントの表れである。
カヴェラシヴィリ大統領は、元プロサッカー選手という異色の経歴を持ち、2024年12月にジョージア大統領に就任した。彼の選出は、ジョージア国内で政治的な議論を呼んでいるが、これは同国の新たな政治的ダイナミクスを反映している。彼は、国民統合、民主的統合、そして欧州および地域パートナーとの関係強化を公約に掲げ、大統領に選出された。彼の外交手腕と地域への関与は、ジョージアの新たな時代を切り開く可能性を秘めている。トルコとジョージアは、1992年の外交関係樹立以来、政治、経済、文化の各分野で強固な協力関係を築いてきた。2024年には両国間の貿易額が34億ドルに達し、50億ドルへの拡大を目指すという経済的な結びつきも、このパートナーシップの深さを示している。バクー・トビリシ・カルス鉄道のような共同インフラプロジェクトは、欧州と中央アジアを結ぶ「ミドル・コリドー」の要として、その戦略的重要性を増しており、両国の経済的結びつきを一層強固なものにしている。
今回のアンカラでの会談は、両国が直面する地域的な課題に対し、対話と協力を通じて前向きな解決策を見出そうとする姿勢を明確に示した。両首脳は、地域における平和と安定の維持、そして経済的な繁栄の追求という共通の目標に向け、協力関係をさらに深化させることで一致した。これは、地域全体の平和と繁栄に向けた、両国指導者の強い意志の表れと言えるだろう。