NATOとEU、ロシアのドローン侵入に対抗するため東部戦線に「ドローン・ウォール」構想を推進

編集者: Татьяна Гуринович

ロシアによるドローン侵入の増加を受け、北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)は、同盟の東部戦線に包括的な「ドローン・ウォール」を構築する構想を具体化させています。この取り組みは、AIを活用したセンサーネットワーク、妨害装置、迎撃システムを統合し、空域の監視能力と防御力を強化することを目的としており、ウクライナも共同創設者として関与する見込みです。

この「ドローン・ウォール」構想は、2023年5月にリトアニアが最初に提唱したもので、その後、エストニアがバルト地域におけるドローン・ウォールの構築を提案しましたが、今年春にはEUからの資金提供が見送られました。しかし、9月10日に発生したポーランド領空へのロシア製ドローン侵入事件は、この構想に対する欧州の認識を一変させました。この事件は、ポーランドとNATOの防空能力における潜在的な脆弱性を浮き彫りにし、EUの対応に緊急性を与えました。EUの担当者は、このギャップを迅速かつ効果的に埋めるための準備を進めたいと述べています。

ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)の外交政策専門家であるノルベルト・レットゲン氏は、NATOの東部全域にわたる「ドローン・ウォール」の必要性を強く訴えています。同氏は、ドローン脅威からの保護の重要性を強調し、様々な種類のドローンの調達を主張しています。レットゲン氏は、ロシアの攻撃に備える上で「時間との厳しい競争」にあると警告しており、この構想の早期実現が不可欠であるとの見解を示しています。EUの担当者であるアンドリュス・クイビリアス氏は、この構想をセンサー、各種兵器、電子戦システムを組み合わせたものと捉えており、1年以内の展開も可能かもしれないと示唆しています。特に、ウクライナが紛争を通じて培ってきたドローン分野での実戦経験とノウハウは、この防衛構想において極めて貴重なものと位置づけられています。EUはウクライナとの間で60億ユーロ規模のドローン提携も進めており、これは現代戦におけるこの重要な側面で欧州の能力を引き上げることを目的としています。

この動きは、NATOがロシアのドローン侵入に対応して開始した「オペレーション・イースタン・セントリー」とも連動しています。この作戦は、同盟の東部戦線における防衛能力を強化し、ロシアからの空域侵犯に対抗するためのものです。ポーランド、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニアといったNATO東部戦線の国々が協力し、AIを活用した自律型監視システム、多層的な対ドローン防御、リアルタイムの運用監視などを統合することで、欧州連合とNATOの東部国境を強化する計画です。この取り組みは、単なる技術的な防衛策に留まらず、地域協力と知識共有を促進し、欧州全体の安全保障体制を強化する機会ともなり得ます。この「ドローン・ウォール」は、変化する安全保障環境に対応し、欧州の回復力を高めるための重要な一歩となるでしょう。

ソース元

  • Agencia Informativa Latinamericana Prensa Latina

  • Germany called for the creation of a 'drone wall' on the eastern flank of NATO

  • Estonia proposes Baltic Drone Wall to protect NATO’s eastern flank

  • The EU is considering a 'drone wall' on NATO's eastern border

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