インドは、米国務省が発表した人権報告書について、「深く偏見があり、情報が不十分である」として強く否定しました。報道官は、報告書がインドの民主主義的枠組みや人権保護制度への理解不足を反映していると述べ、このような評価には一切重きを置かないと強調しました。この声明は、米国によるインド製品への関税引き上げや、ロシア産石油輸入を巡る緊張が高まる中で発表されました。
インドは、米国による関税措置に対応するため、ロシア産石油の輸入削減を検討する可能性も示唆されています。しかし、インド石油公社(IOC)の会長は、ロシア産石油の購入に「一時停止はない」と明言し、購入決定は経済的考慮のみに基づいていると述べました。同会長によると、ロシア産原油の購入量は、割引に応じて毎月変動する可能性があり、以前は1バレルあたり40ドルに達した割引が、最近では1.5ドルに縮小したものの、再び約2.70ドルに拡大したとのことです。インドは2022年以降、ロシア産石油の最大の購入国となっています。
一方、防衛調達に関する米国との交渉については、インド政府は「通常通り進行している」と一貫して主張しています。一部の報道では、米国による関税引き上げへの不満から、インドが主要な防衛調達交渉を一時停止したと伝えられましたが、国防省はこれを「虚偽かつ捏造されたもの」と一蹴しました。インドは、米国との防衛協力が二国間関係の重要な柱であると強調しており、防衛調達プロセスは確立された手順に従って進められていると述べています。米国防衛政策チームが8月中旬にインドを訪問する予定であり、アラスカでの合同軍事演習「ユド・アビヤス」も今月後半に予定されています。これらの動きは、両国間の防衛協力が継続していることを示唆しています。
インドと米国は、共通の利益、民主的価値観、そして強固な人的交流に根差した包括的な世界的戦略的パートナーシップを共有しています。しかし、貿易摩擦や人権問題に関する見解の相違は、両国関係における継続的な課題となっています。米国務省の2024年人権報告書は、インド政府が人権侵害に関与した公務員を特定し処罰するために「最小限の信頼できる措置」しか講じなかったと指摘していますが、インド側はこの報告書を一方的で偏見があると一蹴しています。このような状況下で、インドは自国の立場を明確にしつつ、戦略的パートナーシップの維持に努めています。