8月19日、ニューデリーで第24回インド・中国特別代表会談が開催され、両国は国境貿易の再開と二国間関係の強化に向けた重要な一歩を踏み出した。中国の王毅外相とインドの国家安全保障担当補佐官アジット・ドバル氏が共同議長を務めたこの会談では、国境問題の管理と両国関係の改善に焦点が当てられた。
会談の主な成果として、国境管理強化のための新たなワーキンググループ設立が合意された。これにより、国境地帯の平和と安定の維持が図られる。また、過去5年間停止されていた国境貿易が、リプリレク峠、シプキラ峠、ナトゥラ峠の3つの主要な峠を通じて再開されることになった。これは両国間の経済交流を活性化させる重要な措置である。
さらに、両国は直行便の運航再開とビザ手続きの簡素化にもコミットし、人的交流の促進と両国間の結びつき強化が期待される。中国は、インドが必要とするレアアース、肥料、トンネル掘削機などの供給に関するインドの懸念に対処する意向も示した。
この会談は、8月31日に中国・天津で開催される上海協力機構(SCO)サミットへのモディ首相の訪問に先立ち行われたもので、両国関係の進展に向けた戦略的な動きと見られている。ドバル補佐官は、過去9ヶ月間、国境地帯は静穏であり、関係には「上昇傾向」が見られると述べ、会談の成功への期待を表明した。王毅外相も、両国が互いを競争相手ではなくパートナーとして見なすことの重要性を強調した。
歴史的に、インドと中国の間には国境問題が存在し、特に1962年の印中戦争や2020年のガルワン渓谷での衝突など、過去の緊張関係を踏まえ、今回の合意は関係改善に向けた前向きな兆候と捉えられている。今回の会談で合意された措置は、両国間の経済協力と国境管理の安定化に向けた具体的な一歩であり、今後の両国関係の発展に寄与するものと期待される。特に、国境貿易の再開は、地域経済への影響だけでなく、両国間の信頼醸成にも繋がる可能性がある。