ソフトバンク、ABBロボティクス部門買収で「物理AI」の地平を切り拓く:産業進化を加速する戦略的統合
編集者: Svetlana Velgush
ソフトバンクグループ株式会社は2025年10月8日、スイスの技術大手ABB株式会社のロボティクス事業部門を総額53億7500万米ドル(約8187億円)で取得する最終合意に至りました。この大規模な買収は、ソフトバンクが掲げる人工超知能(ASI)実現に向けた構想の中核を成すものであり、AIと物理的な実体を融合させる「物理AI」という次なるフロンティアへの重要な一歩と位置づけられています。
ABBのロボティクス部門は、ピッキング、清掃、塗装といった精密作業を担う産業用ロボットの分野で世界的に認知されたブランドです。同部門は、約7,000人の従業員を擁し、2024年には23億ドルの収益を計上し、これはABB全体の売上の約7%に相当します。ソフトバンクは、この部門の持つ技術力と産業基盤を、自社のAI研究と深く結びつけることで、新たな次元の創造力を発揮させることを目指しています。
ソフトバンクの孫正義会長兼CEOは、この統合を「物理AI」実現に向けた戦略的統合と説明しています。彼のビジョンは、世界最高水準の技術と才能を結集し、ASIとロボティクスを融合させることにあります。一方、ABB側は、この売却が電動化と自動化という中核事業への資本配分を集中させる戦略的決断であると表明しました。ABBのモルテン・ウィーロッドCEOは、ソフトバンクが同部門にとって「素晴らしい新しい受け皿」となり、AIと次世代コンピューティングにおけるソフトバンクの能力とABBの産業専門知識の組み合わせが、AI搭載ロボティクスの分野でイノベーションを主導すると期待を寄せています。
この買収は、ソフトバンクがこれまでAutoStore Holdings、Agile Robots、そしてPepperを開発したAldebaranなど、ロボティクス分野へ継続的に投資してきた実績の上に成り立っています。特に、AIチップ、AIデータセンター、エネルギー分野への積極的な投資拡大と並行して、このロボティクス部門の統合は、AIを物理世界に展開する戦略の要となります。グローバルな産業用ロボット市場で約13%のシェアを持つABBロボティクス部門の統合により、ソフトバンクは自動車、エレクトロニクス、物流といった分野での需要対応能力を飛躍的に高めることになります。
本取引の完了は、欧州連合、中国、米国を含む複数の管轄区域での規制当局の承認を経て、2026年の半ばから後半になる見込みです。この統合プロセスは、産業オートメーションとAIインフラストラクチャという二つの成長領域を橋渡しする計算された一歩であり、関わる全ての関係者にとって、より明確な方向性を見出す機会となるでしょう。
ソース元
Bloomberg Business
ABB to divest Robotics division to SoftBank Group
SoftBank to acquire ABB robot unit for $5.4B
SoftBank bulks up its robotics portfolio with ABB Group’s robotics unit
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