シリアの移行政府は、経済再建に向けた国際投資として約140億ドルを誘致しました。これは、地域からの支援や援助の約束と並行して行われ、来るべき総選挙を控えた同国にとって重要な一歩となります。アーメド・アル・シャラア大統領の下で締結されたこの大規模な投資契約には、カタールのUCCホールディングとの間でダマスカス国際空港の拡張に40億ドルを投じる契約が含まれます。このプロジェクトにより、空港の年間旅客処理能力は3100万人に達する見込みです。
さらに、アラブ首長国連邦（UAE）のナショナル・インベストメント・コーポレーションとは、首都ダマスカスに地下鉄システムを構築するために20億ドルを投資する契約が結ばれました。この地下鉄は、1日あたり約75万人の通勤者を輸送すると推定されています。イタリアに拠点を置くUBAKO社とは、ダマスカス近郊で60棟の高層住宅ビルを建設し、2万戸の住居を提供する20億ドルの不動産開発契約も締結されました。これらのインフラおよび都市開発プロジェクトは、長年の紛争によって荒廃したシリアの経済基盤を再構築し、国民生活の質を向上させることを目指しています。
地域からの支援も活発化しており、サウジアラビアは様々な分野への60億ドル以上の投資を約束しています。また、トルコ外務大臣は、アル・シャラア大統領との会談で、シリアの安定と復興への継続的な支援を再確認しました。これらの動きは、シリアが国際社会との連携を深め、経済的な再生を目指す姿勢を明確に示しています。しかし、国連の推計によると、戦後復興に必要な費用は4000億ドル以上に上るとされており、経済は深刻な打撃を受けています。こうした状況下で、今回の投資契約は経済回復への希望の光となります。政治的な側面では、2025年9月15日から20日にかけて総選挙が予定されており、これはバッシャール・アル・アサド政権崩壊後、初めて行われる国政選挙となります。