レバノン政府は、米国およびイスラエルからの強い圧力に直面する中、2025年末までにイスラム教シーア派組織ヒズボラの武装解除を目指すという計画の目標を承認しました。この決定は、レバノン国内の政治的均衡と地域全体の安定に重大な影響を与える可能性があります。米国特使トム・バラック氏が提示したこの計画は、段階的なアプローチを特徴としており、11月の停戦合意の履行を確実にするという目標を掲げ、ヒズボラを含む非国家武装勢力の武装解除を段階的に進めることを目指しています。これと並行して、イスラエル軍はレバノン南部からの撤退を進め、レバノン人捕虜の解放も含まれるとされています。レバノン軍は、この武装解除計画の詳細な実行計画を2025年8月末までに提出するよう指示されました。この計画は、レバノン憲法や国連安全保障理事会決議1701号の遵守、国家主権の拡大、そして戦争と平和に関する決定権の国家への集中を目的としています。
しかし、この動きに対し、ヒズボラは断固として反対の姿勢を示しており、イスラエルが占領地から完全に撤退し、レバノンへの空爆を停止しない限り、武装解除の議論には応じないとしています。この決定が発表された閣議では、ヒズボラおよびその同盟者であるアマル運動の閣僚が抗議の退席をするなど、国内の意見の相違も浮き彫りになりました。ヒズボラは、政府の決定を「なかったこととして扱う」と表明しており、計画の実施には大きな障害となることが予想されます。米国は、レバノンの政治的・軍事的な状況を安定させるための重要なステップとして、この計画を強く後押ししています。イランはヒズボラの主要な支援者であり、この問題における最終的な決定権はヒズボラ自身にあるとの立場を示唆しています。この計画の成功は、レバノン政府が国内の政治的亀裂を乗り越え、ヒズボラの強力な抵抗をどのように管理できるかにかかっています。