イスラエルのベザレル・スモトリッチ財務相は2025年8月14日、ヨルダン川西岸のE1地区における3,401戸の新住宅建設を承認しました。この決定は、エルサレムとマアレ・アドゥミム入植地の間に位置する戦略的に重要な地域での開発を進めるもので、パレスチナ国家の樹立を阻害し、ヨルダン川西岸を分断する可能性が高いことから、国際社会から強い非難を浴びています。
スモトリッチ財務相は、この計画がパレスチナ国家の構想を「葬り去る」ためのものだと明言しており、エルサレムとヨルダン川西岸の他の地域との間のイスラエルの連続性を確立する意図を示しています。E1地区での建設は長年にわたり論争の的となっており、国際的な反対により2012年から凍結されていました。イスラエルによるヨルダン川西岸への入植活動は1967年以来続いており、国連や国際司法裁判所を含む多くの国際機関によって国際法違反と見なされています。この地域での開発は、ヨルダン川西岸を南北に分断し、将来のパレスチナ国家の地理的連続性を著しく損なうと懸念されています。
この承認に対し、フランス外務省は「国際法に対する重大な違反」であり、二国家解決の実現可能性を脅かすものだと非難しました。ドイツ外務省も同様に、この計画を強く非難し、国際法違反であると指摘しました。イスラエルの反入植運動団体「ピース・ナウ」は、この計画が「イスラエルの未来と平和的な二国家解決へのあらゆるチャンスにとって致命的である」と警告を発しています。国連も、イスラエルの入植活動は国際法に違反しており、E1地区での建設はヨルダン川西岸を分断し、実行可能なパレスチナ国家の樹立を不可能にするだろうとの見解を示しています。
今回の決定は、フランス、英国、カナダなどが9月の国連総会でパレスチナ国家の承認を検討していると発表した時期と重なっており、外交努力に対する現場からの直接的な対応と見られています。このような状況下での入植地の拡大は、地域における緊張をさらに高め、平和への道を一層険しいものにする可能性があります。