ロシア、首都キエフに大規模空襲 多数の死傷者と甚大な被害

2025年9月7日未明、ロシアはウクライナの首都キエフに対し、過去最大規模となるドローンとミサイルによる大規模な空襲を実施しました。この攻撃により、少なくとも3名が死亡、18名が負傷し、多くの建物が炎上しました。特に、政府庁舎を含む複数の高層住宅が被弾し、甚大な被害が発生しました。

キエフ市長のビタリ・クリチコ氏によると、攻撃はドローンとミサイルによって行われ、スヴャトシン地区とダルニツキー地区にある複数の高層住宅に被害が及びました。ダルニツキー地区の4階建て集合住宅では3階部分が部分的に崩壊し、スヴャトシン地区の9階建てビルでは4階から8階部分が損傷を受けました。また、政府庁舎の屋上と上層階にも火災が発生し、煙が立ち上る様子が目撃されています。この攻撃は、過去2週間でキエフを標的とした2度目の大規模な空襲であり、ロシアによる攻撃のエスカレーションを示唆しています。

今回の攻撃では、1歳の子どもを含む幼い命が失われたほか、妊娠中の女性を含む負傷者も出ており、民間人への被害が深刻です。ウクライナのゼレンスキー大統領は、この攻撃をロシアによる戦争の継続であり、外交努力への無関心であると非難し、制裁の強化、ウクライナへの武器供給の増加、そして将来の侵攻を防ぐための措置を求めています。

ウクライナ空軍によると、ロシアは夜間に805機のドローンと13発のミサイルを発射したとされています。ウクライナ側は751機のドローンと4発のミサイルを撃墜したと発表していますが、それでもなお多くの攻撃が都市部に到達しました。この大規模な攻撃は、ウクライナの防空能力に対する挑戦であると同時に、ロシアが民間インフラや居住地域を意図的に標的にしている可能性を示唆しています。

専門家は、ウクライナの防空システムは進化を続けているものの、ロシアが使用するドローンやミサイルの数と多様性に対応するには限界があることを指摘しています。最近では、ウクライナはロシアのドローン製造・供給網への攻撃を強化しており、ロシア国内の施設を標的にすることで、ロシアの攻撃能力を削ぐことを目指しています。しかし、今回のキエフへの攻撃は、依然としてロシアがウクライナの主要都市に深刻な被害を与える能力を有していることを示しています。

この攻撃は、紛争の激化と、首都の民間人および重要インフラへの直接的かつ致命的な影響を浮き彫りにしています。ウクライナ指導部の声明は、攻撃の背後にある意図と国際社会への行動を求める訴えを強調しています。このような攻撃が短期間に繰り返されることは、損害を与え、恐怖を植え付けるための意図的な戦略を示唆しています。国際社会は、言葉だけでなく行動でこの破壊に対応する必要があり、ロシアに対する制裁圧力の強化が求められています。