フランス、緊縮財政への抗議で政情不安、新首相にルコルニュ氏

編集者: gaya ❤️ one

フランスでは、緊縮財政政策への国民の強い反発が政情不安を引き起こし、2025年9月2日にフランソワ・バイロー首相率いる政府が不信任決議により総辞職に追い込まれました。この政治的混乱は、全国的な抗議活動へと発展し、特に9月10日のパリでは治安部隊との衝突も発生しました。

バイロー政権の崩壊は、財政赤字削減を目指した一連の緊縮策、特に祝日廃止を含む提案が国民の強い反発を招いたことが直接的な原因です。これらの措置は、総額438億ユーロ(約513億ドル)に上る歳出削減の一環でした。この経済政策への不満は、ソーシャルメディア上で「ブロクン・トゥ(Bloquons tout、「全てを阻止せよ」の意)」と呼ばれる運動を2025年半ばに生み出し、9月10日の全国的なストライキと社会のシャットダウンを呼びかけました。

9月10日、抗議活動はパリで激化し、高速道路の封鎖が試みられ、治安部隊との間で催涙ガスが使用されるなど、激しい衝突が発生しました。パリでは午前8時までに65人が逮捕され、6,000人の警察官が動員されました。内務大臣ブルーノ・ルテイヨー氏は、この暴力行為を非難し、運動が「極めて暴力的な極左」勢力に乗っ取られたと指摘しました。ストラスブール、マルセイユ、トゥールーズなど、他の主要都市でも抗議活動が報告されました。

この政治的危機を受け、エマニュエル・マクロン大統領は9月9日、国防大臣を務めていたセバスチャン・ルコルニュ氏を新首相に任命しました。ルコルニュ氏はマクロン大統領の側近であり、その任命は政権の経済政策路線を継続する意向を示すものと見られています。しかし、一部の政治評論家からは、この人事が議会に対する「侮辱」であるとの批判も出ており、特に社会党からは懸念の声が上がっています。ルコルニュ新首相は、分裂した議会で予算案などの合意形成を図るという困難な課題に直面しています。

「ブロクン・トゥ」運動は、2018年の「黄色いベスト」運動と比較されることもありますが、平日に行動を集中させる点や、より左派寄りの支持基盤を持つ点で異なると分析されています。マクロン政権は議会で過半数を確保しておらず、この政治的行き詰まりは、フランス経済の安定と将来の政策決定に大きな影響を与える可能性があります。国民の不満は、単なる経済政策への反対に留まらず、社会全体の方向性に対する問いかけとも言えます。

ソース元

  • Bild

  • BBC News

  • Le Monde

  • France 24

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