欧州連合(EU)は、ニカラグアにおける継続的な政治的・社会的危機に対応するため、同国に対する制裁措置を2026年10月15日まで延長することを決定しました。2019年から実施されているこれらの制裁は、現在21人の個人と3つのニカラグアの団体に適用されており、資産凍結やEU域内への入国・通過禁止が含まれます。EU市民や企業は、制裁対象者への資金提供を禁じられています。
EUは、ニカラグアにおける基本的人権の回復、全ての政治囚の解放、国際人権団体の再入国を改めて強く求めています。また、市民社会の活動空間への制限解除、異議申し立ての権利の尊重、国内外におけるあらゆる形態の弾圧停止を強調しています。さらに、EUはニカラグアに対し、国連および人権理事会を含む主要な国際機関との協力を再開するよう促しています。
この制裁措置の延長は、ニカラグアにおける人権状況と民主主義の後退に対する国際社会の懸念が継続していることを示しています。制裁は、2018年以来の政治的・社会的状況の悪化を受けて導入され、当初は6人の個人が対象でした。その後、制裁対象者は拡大し、2021年にはロサリオ・ムリージョ副大統領を含む8人が追加されました。2023年にはさらに6人の当局者と1つの団体が追加され、制裁対象者は合計で21人の個人と3つの団体となりました。
国連人権専門家は、ニカラグア政府が権力に対する最後のチェック機能を解体し、独立した機関が存在しない権威主義国家へと変貌させていると警告しています。2024年9月には、135人の政治囚がグアテマラへ追放され、国籍を剥奪されました。これにより、2023年2月以降に国籍を剥奪されたニカラグア国民は450人以上に上り、多くの人々が国籍を失っています。さらに、2025年2月には、ニカラグアの人権状況に関する国連専門家パネルが、同国で人道に対する罪に相当する可能性のある行為が行われているとの見解を示しました。
これらの制裁措置は、ニカラグア政府に対し、民主主義、法の支配、そして人権の尊重に向けた具体的な行動を促すことを目的としています。EUは、ニカラグア国民への継続的な支援と、平和的かつ対話による危機の解決に向けた努力を支持する姿勢を改めて表明しています。