北朝鮮は2025年8月23日、新たに開発された2種類の防空ミサイルの試射を実施しました。国営メディアである朝鮮中央通信(KCNA)の報道によると、これらのミサイルはドローンや巡航ミサイルといった航空目標に対する迎撃能力を実証し、「優れた戦闘能力」を示したとされています。
この軍事活動は、アメリカと韓国が合同軍事演習「ウルチ・フリーダム・シールド」を実施している最中に行われました。北朝鮮の指導者である金正恩氏は、米韓合同軍事演習を「敵対的かつ対決的」であると非難し、地域の安全保障に対する懸念を高めています。同氏は、北朝鮮が核兵器の増強を加速させ、軍事戦略に「抜本的な変化」をもたらす必要があると主張しました。これは、北朝鮮が核兵器の保有数を急速に増やしているという分析とも一致しており、推定では最大90個の核弾頭を製造できるだけの核物質を保有しているとされています。
一方、韓国とアメリカは、北朝鮮の脅威に対抗するための「ウルチ・フリーダム・シールド」演習を8月18日から11日間実施しています。この演習には約21,000人の兵士が参加しており、そのうち18,000人が韓国軍です。演習の一部は、猛暑のため9月に延期されましたが、両国は演習の目的が防衛的なものであると強調しています。
今回の北朝鮮によるミサイル発射は、米韓合同軍事演習への直接的な対抗措置と見られており、朝鮮半島における緊張が依然として高いレベルにあることを示しています。北朝鮮は、これらの合同演習を侵略のリハーサルと見なしており、過去にも演習を軍事力の誇示や兵器開発の口実として利用してきました。金正恩氏の最近の発言は、非核化交渉の再開に向けた動きとは対照的に、核兵器開発を不可逆的に進める姿勢を示唆しています。専門家は、北朝鮮がロシアとの軍事協力関係を強化していることにも注目しており、これが同国の軍事能力向上に寄与する可能性を指摘しています。この状況は、地域全体の安定にとって重要な意味を持つと考えられます。