SpaceXのファルコン9ロケットは、国際宇宙ステーション(ISS)への33回目の商業補給サービス(CRS-33)ミッションにおいて、ドラゴン宇宙船を無事打ち上げました。打ち上げは2025年8月24日午前2時45分(米国東部夏時間)にフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の発射施設40から行われました。ドラゴン宇宙船には、5,000ポンド(約2,270キログラム)以上の貨物が搭載されており、これには重要な乗組員物資、必須機器、そして画期的な科学実験が含まれています。
今回のミッションの特筆すべき点は、ISSの軌道を数ヶ月にわたり再ブースト(軌道修正)するために設計された「ブースト・キット」を搭載していることです。このキットは、大気抵抗によるISSの高度低下を補うための重要な機能であり、ロシアのプログレス宇宙船に代わるものとして、SpaceXのドラゴン宇宙船がその役割を担います。この軌道維持能力は、2024年11月のCRS-31ミッションで初めて実証されました。CRS-33ミッションでは、このブーストキットが9月以降、秋にかけて定期的な噴射を実施し、ISSの高度維持に貢献する予定です。
CRS-33の科学ペイロードは多岐にわたり、生物医学および物理科学研究、技術実証、学生主導プロジェクトに焦点を当てています。具体的には、骨粗鬆症の治療法開発につながる可能性のある骨形成幹細胞の研究、神経損傷治療を支援する医療インプラントの3Dプリンティング用材料、そして微小重力下での血管発達を調査するためのバイオプリントされた肝臓組織の研究が含まれます。これらの研究は、地球上での再生医療の進歩にも貢献することが期待されています。
ドラゴン宇宙船は、2025年8月25日午前7時30分(米国東部夏時間)頃にISSのハーモニーモジュールの前方ポートに自動ドッキングする予定です。約3ヶ月間ISSに接続されたまま、複数の軌道再ブーストを実施し、ISSの運用寿命延長に向けた継続的な取り組みの一環となります。このミッションは、ISSでの物資供給と科学研究の推進におけるNASAとSpaceXの継続的なパートナーシップを強調するものであり、宇宙探査と技術革新の進歩に大きく貢献しています。