欧州宇宙機関(ESA)は、2025年10月4日にオーストラリアの西オーストラリア州ニューノーシアに、同機関にとって4基目となる深宇宙アンテナ「ニューノーシア3(NNO3)」を開設する予定です。この35メートル径のアンテナは、ESAの深宇宙通信ネットワーク「Estrack」の能力を大幅に強化し、太陽系を探査するミッションに対して、昼夜を問わず継続的な通信を提供します。
NNO3アンテナは、木星氷衛星探査(JUICE)、ベピ・コロンボ、エキソマーズ・トレース・ガス・オービターといった、拡大し続ける深宇宙ミッションに対応できるよう設計されています。最新の技術により、ニューノーシア基地の下り通信能力がKバンドおよびKaバンドまで拡張されたことで、月探査、天文観測、深宇宙探査におけるデータ伝送速度の向上が可能になります。これにより、遠く離れた宇宙からの貴重な科学データをより迅速かつ効率的に地球へ送信できるようになります。
さらに、このアンテナはラジオサイエンス研究に新たな道を開き、ベピ・コロンボやJUICEなどのミッションにおける実験を支援します。NNO3の建設は、ESAとオーストラリア宇宙庁との共同事業であり、オーストラリアの企業も大きく貢献しています。このプロジェクトは、地域の経済活性化を促進し、宇宙探査における国際協力をさらに深めることが期待されています。オーストラリアとESAは、1979年以来、ESAの地上局をオーストラリア国内に設置し、宇宙船や惑星間ミッションの追跡を可能にするための協力関係を築いてきました。
NNO3アンテナの開設に先立ち、2025年9月22日にはメディア向けの説明会が開催されます。この説明会では、ESAおよびオーストラリア宇宙庁の主要関係者が登壇し、新アンテナの能力とその戦略的重要性について詳細な洞察を提供する予定です。NNO3がESAのEstrackネットワークに統合されることは、同機関が深宇宙通信インフラストラクチャの改善に注力していることを示しています。この強化により、太陽系の遠隔地を探査する現在および将来の野心的な科学的探査ミッションに対する信頼性の高いサポートが保証されます。
ニューノーシア基地は、ESAの深宇宙アンテナにとって戦略的な地理的位置を占めており、スペインとアルゼンチンにある同機関のアンテナを補完します。これらの地点は経度で120度離れて配置されており、深宇宙ミッションに対して昼夜を問わない連続的な通信カバレッジを可能にします。この新しいアンテナは、ESAの深宇宙通信能力を強化し、科学データの収集と伝送を最大化するための重要な一歩となります。