NASAのナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は、私たちの銀河系、天の川銀河の構造と進化を解き明かすための画期的な調査に乗り出します。この広大な銀河平面調査は、約200億個の星々をマッピングすることを目指しており、これは現在までに観測された星の数の4倍に相当します。この野心的な取り組みは、私たちの太陽系の起源や、星々が生まれるプロセスについての理解を深めることを約束します。
ローマン宇宙望遠鏡は、2027年5月までに打ち上げが予定されていますが、2026年秋に前倒しされる可能性もあります。この望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡と同等の解像度を持ちながら、視野は100倍以上広いため、銀河の広大な領域を効率的に観測できます。この能力により、これまで厚い星間塵に隠されていた天の川銀河の遠い領域や中心部を詳細に調査することが可能になります。
この調査の重要な焦点の一つは、星間物質、すなわち星々の間に存在するガスと塵の研究です。星間物質は、新しい星や惑星が形成されるための「種」であり、また、古い星々が物質を宇宙空間に還元する媒体でもあります。ローマン宇宙望遠鏡の銀河平面調査は、この星間物質の分布を詳細にマッピングすることで、銀河の腕の構造、銀河のリサイクリングシステム、そして私たちの太陽系がどのように形成されたかについての貴重な洞察を提供します。
この調査の観測戦略は、科学コミュニティからの広範な意見を取り入れて策定されました。特に、2025年2月11日から13日にかけて開催された仮想ワークショップでは、科学者たちが集まり、ローマン宇宙望遠鏡がもたらす膨大なデータから最大限の科学的成果を引き出すための方法について議論を深めました。このような共同作業は、人類の知識の探求における集合的な知恵と協力の力を示しています。
ローマン宇宙望遠鏡から得られるデータは、ローマ宇宙望遠鏡リサーチネクサス（RRN）およびバーバラ・A・ミクラスキー宇宙望遠鏡アーカイブ（MAST）を通じて、すべての人々に公開されます。このオープンデータポリシーは、世界中の研究者が自由にデータにアクセスし、分析を行うことを可能にし、将来の世代までもが新たな発見を続けるための基盤となります。ある専門家は、「まだ生まれていない人々でさえ、このデータを使って素晴らしい分析を行うことができるでしょう」と述べており、これはこのミッションがもたらす長期的な影響の大きさを物語っています。
このプロジェクトは、NASAのゴダード宇宙飛行センターが主導し、ジェット推進研究所、カリフォルニア工科大学/IPAC、宇宙望遠鏡科学研究所などが協力しています。BAEシステムズ、L3ハリス・テクノロジーズ、テレダイン・サイエンティフィック＆イメージングといった主要な産業パートナーも貢献しています。ローマン宇宙望遠鏡による銀河平面の包括的なマッピングは、私たちの宇宙における位置と起源についての理解を深める上で、新たな時代の幕開けとなるでしょう。