中国の大手自動車メーカーであるChery(チェリー)は、プレミアムサブブランドであるJaecoo(ジャクー)を通じて、世界的な事業拡大の重要な節目を発表しました。これは、成熟した西側市場での地位を確固たるものにすることを目的としています。新型コンパクトSUVであるJaecoo J5は、2026年初頭、具体的には2月にオーストラリア市場でデビューする予定です。この動きは、アジアの自動車メーカーが、競争の激しいSUVセグメントにおいて、現代的なデザインと先進技術を組み合わせた製品を消費者に提供するという戦略を明確に示しています。
Jaecoo J5は、既に市場に投入されているJ7およびJ8の下に位置づけられており、ブランドラインナップの中で最も小型で、おそらく最も手頃な価格帯のモデルとして位置付けられています。オーストラリア市場において、このクロスオーバーは、Ford Puma、Toyota Yaris Cross、Honda HR-V、そしてSkoda Kamiq/VW T-Crossといった、同セグメントの確立されたモデル群と直接競合することになります。Cheryの戦略の核となるのは、多様な消費者の要求に応えるため、幅広いパワートレインの選択肢を提供することです。オーストラリアの購入者向けには、純粋な電気自動車(BEV)、ハイブリッド、そして従来のガソリンエンジンの3種類が用意される見込みです。
ガソリン仕様車には、1.5リッターのターボチャージャー付きエンジンが搭載され、最高出力147 PS(または146 PS)、最大トルク210 Nmを発揮し、無段変速機(CVT)と組み合わされます。一方、電気自動車版のJ5は、最高出力150 kW(201 PS)、最大トルク291 Nmのパワートレインを搭載します。BEVの航続距離は、WLTPサイクルに基づき約385 kmと試算されています。欧州でのテスト結果によれば、61.1 kWhのバッテリーを搭載した場合、最大402 kmに達する可能性が示唆されています。車体サイズは、全長4380 mm、全幅1860 mm、全高1650 mmであり、ホイールベースは2620 mm(または2610 mm)で、コンパクトクロスオーバーのクラスに適合しています。荷室容量は通常時で480リットル、後部座席を倒すと1180リットルまで拡大し、最低地上高は190 mmを確保しています。
J5のインテリアは、ミニマリストなデザインが特徴であり、中央には13.2インチの縦型タッチスクリーン式マルチメディアシステムが配置され、さらに8インチの液晶インストルメントパネルが補完しています。この車両には、ADAS 2.5レベルの高度な運転支援システムが装備される予定です。外観デザインについては、一部のオブザーバーからRange Rover(レンジローバー)のスタイリングとの類似性が指摘されており、これがモデルに視覚的な重厚感を与えています。このモデルの市場での成功は、技術的で多用途な移動手段を求める消費者の期待に応える、正確な価格設定にかかっていると言えるでしょう。