サムスン電子は2025年12月2日、同社初となる三つ折りスマートフォン「Galaxy Z TriFold」を正式に発表し、マルチフォールディング技術における同社の優位性を示した。この新型デバイスは、3枚のパネルを内側に折りたたむ構造を採用しており、完全に展開すると253.1ミリメートル(10インチ)のメインディスプレイを提供する。これは、同年7月に発表された「Galaxy Z Fold 7」よりも約25%大きい画面領域であり、タブレット級の生産性とスマートフォンの携帯性の融合を目指した設計である。
この発表は、折りたたみデバイス市場における競争激化のさなかに行われた。特に、中国のライバル企業であるHuaweiが前年(2024年9月)に三つ折りスマートフォン「Mate XT Ultimate Design」を発表しており、サムスンは技術的リーダーシップの強化を急いでいた。サムスン電子の専務取締役アレックス・リム氏は、TriFoldが「セグメントにおけるより爆発的な成長を促進する触媒となり得る」と述べ、市場の進化に対する自信を表明した。
Galaxy Z TriFoldの主要な技術仕様は、その革新性を裏付けている。メインディスプレイは2160 x 1584ピクセルの解像度を持ち、カバー画面は閉じた状態で6.5インチ(2520 x 1080ピクセル)として機能する。特筆すべきは、2つのヒンジを統合した「Armor FlexHinge」機構の採用により、展開時の最薄部がわずか3.9mmに抑えられている点である。このデバイスは309グラムの重量を実現しつつ、フラッグシップモデルとして過去最大の5,600mAhの三層式バッテリーを搭載し、30分で50%の充電が可能な45Wの超急速充電に対応している。
本デバイスの処理能力は、Qualcommの「Snapdragon 8 Elite Mobile Platform for Galaxy」によって支えられている。このチップセットはGalaxy向けに最適化されており、10インチの大型画面での3つのアプリケーションの同時表示といった高度なマルチタスクを円滑に実行するために不可欠である。また、本機はスタンドアロンのSamsung DeXを搭載した初のスマートフォンであり、デスクトップ環境を構築できる。
しかしながら、サムスン側はGalaxy Z TriFoldを「量販を意図した製品ではなく、特別なエディション」と位置づけており、高額な部品コストと製造の複雑さから、当面はニッチな層をターゲットとすることが示唆されている。発売スケジュールは、2025年12月12日に韓国で国内ローンチが開始され、その後、中国、台湾、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)で年内に展開される予定だ。米国市場への投入は、2026年第1四半期(1月~3月)にずれ込む見込みである。
この戦略的な展開は、技術的優位性を確立しつつ、市場の反応を慎重に見極める姿勢を示している。NH Investment & Securitiesのアナリスト、リュ・ヨンホ氏は、初代製品であるため「完成度や耐久性」が市場の評価の鍵となると指摘している。この発表は、2025年第3四半期にサムスンが64%のシェアを占める折りたたみ市場において、Appleが2026年に参入するとの予測が高まる中で、サムスンが技術革新のペースを維持する意向を明確にしたものと見られる。

