音楽界における顕著な貢献を称えるイバーズ・アカデミーの授賞式が2025年10月2日、ロンドンで開催されました。特に、ソングライターの権利擁護に尽力したRAYEと、革新的な作詞・作曲で知られるKae Tempestが表彰されました。
弱冠27歳のRAYEは、ソングライターの公平な権利と報酬を求める活動が評価され、イバーズ・アカデミー・オナーを初受賞しました。彼女の尽力により、イギリスのレコードレーベルはソングライターの経費負担に関する約束を取り付けるに至りました。デビューアルバム「21st Century Blues」は全英アルバムチャートで2位を記録し、2024年にはブリット・アワードで6冠を達成するなど、アーティストとしても目覚ましい活躍を見せています。
一方、Kae Tempestは、その独特な作詞・作曲の世界観で音楽界に多大な影響を与えています。2025年7月4日にリリースされた最新アルバム「Self Titled」は、自己探求と芸術的表現をテーマにしており、ニール・テネット、ヤング・ファザーズといった著名アーティストとのコラボレーションが話題を呼んでいます。このアルバムは、テンペストが自身のヒップホップのルーツに回帰しつつ、進化し続ける音楽的表現を提示した作品となっています。
今回の授賞式では、これらの功績が称えられただけでなく、音楽業界の発展に貢献した多くの著名人が表彰されました。リチャード・ブランソン卿やクリス・ブライアント下院議員、キャサリン・マナーズ、ジョン・プラット、カニャ・キングCBEもその一人です。また、SESACの国際担当副社長であったジョン・スウィーニー氏には、音楽業界への多大な貢献を称え、追悼の意を込めて posthumous award(死後追贈賞)が贈られました。スウィーニー氏は、2025年6月11日に逝去されましたが、生前はソングライターやパブリッシャーとの関係構築に尽力し、PRS Foundationの共同設立者および会長としても、イギリスの新しい音楽とアーティスト育成のための重要な資金提供機関としての地位を確立しました。
これらの受賞者たちは、ソングライティング、権利擁護、業界のリーダーシップといった多岐にわたる分野での功績を浮き彫りにしています。イバーズ・アカデミー・オナーズは、1974年から続くゴールド・バッジ・アワードの伝統を受け継ぎ、音楽業界におけるソングライターとコンポーザーの権利擁護、そしてより公正で包括的な音楽産業の構築を目指す活動を支援しています。