月面での茶栽培、画期的な進歩を遂げる

編集者: Olga Samsonova

英国ケント大学の研究者たちは、月の土壌模擬物質を用いた茶植物の栽培に成功し、宇宙農業における重要な一歩を踏み出した。この研究は、長期宇宙滞在ミッションに不可欠な月面での茶栽培の可能性を示唆している。

環境制御下で実施されたこの実験では、茶の苗木が月の土壌模擬物質の中で、地球の土壌と同等の速度で根付き、成長することが確認された。これは、宇宙空間における持続可能な人間の居住地確立に向けた取り組みを力強く後押しするものである。以前は、過酷な月の環境での植物の生育は困難と考えられていたが、2022年にフロリダ大学の研究チームがアポロ計画で持ち帰られた月の土壌サンプルを用いてクレソンを栽培することに成功したことで、この見方は覆された。このクレソンは、金属や塩分を多く含む土壌に適応するために、通常は不活性な遺伝子を活性化させたことが判明している。この発見は、長期宇宙ミッションに従事する宇宙飛行士が、地球からの物資輸送に頼るのではなく、宇宙で栽培した作物で自給自足できる可能性に希望を与えている。

ケント大学の植物生物学講師であるサラ・ロペス=ゴモロ博士は、「このプロジェクトの結果は非常に有望であり、月の土壌で茶が栽培できることを示しています。次のステップは、これらの条件下での植物の生理機能をさらに理解し、成長を改善し、最終的には他の作物にもこの知見を応用することです。宇宙飛行士を月へ送るだけでなく、月を居住可能な場所にするという目標に向けて、これは特にエキサイティングな進展です。」と述べている。この研究は、月面基地での食料生産の可能性を探る上で、茶が最初の作物となる可能性を示唆している。この実験には、英国のダー​​トムーア・エステート・ティー社が若木を提供し、実用的な知識を提供している。同社の担当者は、このアイデアを「驚異的」と評し、茶の文化的重要性にも言及している。もし宇宙で茶が栽培できるようになれば、国際宇宙ステーションの乗組員も日常的な一杯を楽しむことができるようになるだろう。

この研究は、温度、湿度、照明を厳密に管理した実験室環境で行われた。月の土壌模擬物質で栽培された茶は、地球の土壌で栽培されたものと比較して、根の張りや成長速度が同等であった。しかし、火星の土壌模擬物質で栽培された植物は生存できなかった。これは、月と火星の環境の違いが植物の生育に大きく影響することを示唆している。今後の研究では、放射線被曝や低重力といった、より現実的な宇宙環境下での植物の生育能力をさらに検証していく予定である。また、月のレゴリス(月の砂)は鋭利で乾燥しており、ミネラルを多く含んでいるため、安全性の確認も重要な焦点となっている。研究チームは、有害物質が茶葉に移行しないかどうかの安全検査も実施しており、これは閉鎖環境での食料生産において極めて重要である。この画期的な研究は、将来の月面基地や長期宇宙ミッションにおける食料自給の可能性を大きく広げるものである。

ソース元

  • Irish Independent

  • University of Kent News

  • YourWeather.co.uk

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