サバハト・ジャフィッチ監督によるドキュメンタリー映画「心の家」が、2025年8月20日に開催される第31回サラエボ映画祭で初公開されます。この作品は、保護者を伴わない子供たちが、ボスニア・ヘルツェゴビナに到着する姿を描いています。
「心の家」は、親元を離れてボスニア・ヘルツェゴビナにいる未成年者たちに焦点を当て、戦争や不確実性の中で希望を持ち続ける彼らの姿を映し出します。全編サラエボで撮影されたこの映画は、子供たちの日常をありのままに捉えています。ドキュメンタリーには、子供たち自身と、彼らの声や物語の中心をなす保護者たちも登場します。
物語の中心には、サラエボのセーフハウスで弟と友人と共に暮らす18歳のモロッコ出身のイブラヒムがいます。セーフハウスは未成年者専用であるため、イブラヒムは弟との別離を意味する退去の可能性に直面します。映画は、彼らが愛するようになった街と、受け入れてくれたコミュニティの中で、共にいようと奮闘する姿を追います。
ボスニア・ヘルツェゴビナは欧州への玄関口として多くの移民が通過する国であり、特に保護者を伴わない未成年者の数は増加傾向にあります。ユニセフなどの国際機関は、これらの子供たちへの保護や支援を提供していますが、ニーズは依然として大きいのが現状です。イブラヒムの物語は、兄弟との絆を守ろうとする子供たちの切実な願いを浮き彫りにしています。
サラエボ映画祭のような国際的な舞台で社会的に重要なテーマを扱ったドキュメンタリーが上映されることは、多くの人々にこれらの子供たちの現実を知ってもらう機会を提供します。この映画は、困難な状況下でも希望を失わない子供たちの精神と、彼らを支える人々の温かさを描き出すことで、観る者に深い感動を与えることが期待されています。