第31回サラエボ映画祭は、8月15日にディノ・ムスタフィッチ監督のダークコメディ「パビリオン」で開幕しました。この映画は、長年の虐待に耐えかねた高齢者施設に入居している老人たちが武装蜂起する物語を描いています。
ヴィクトル・イヴァンチッチの短編小説を原作とする本作には、ハリウッド大作にも出演するラデ・シェルベジヤをはじめとする豪華キャストが出演しています。ムスタフィッチ監督は、腐敗、強欲、権力の乱用といった普遍的なテーマが描かれていると述べています。監督は、20年以上の沈黙を破り、自身の故郷であるサラエボで本作を初上映できることに興奮を表明しました。「パビリオン」は、ブラックユーモモアと社会風刺をユニークに融合させた作品であり、映画祭のオープニング作品として高い期待が寄せられています。
サラエボ映画祭は、1995年のサラエボ包囲網の最中に設立され、以来、東南ヨーロッパで最も重要な映画祭の一つへと成長しました。当初は戦争の混乱の中で希望と文化的な表現の場を提供することを目的としていましたが、現在では地域および国際的な映画界にとって重要なプラットフォームとなっています。今年の映画祭では、「パビリオン」の他にも、ポーランド映画の特集や、イリヤ・フルジャノフスキー監督の回顧上映など、多彩なプログラムが予定されています。また、名誉のサラエボ・ハート賞を受賞したパオロ・ソレンティーノ、ウィレム・デフォー、レイ・ウィンストン、ステラン・スカルスガルドといった著名な映画人たちがマスタークラスを開催し、映画制作の奥深さを伝えます。
ラデ・シェルベジヤは、「スナッチ」、「ミッション:インポッシブル2」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「テイクン2」など、数多くのハリウッド作品で知られています。今回の「パビリオン」では、高齢者たちの反乱を率いる中心人物の一人を演じています。
「パビリオン」は、単なるエンターテイメント作品にとどまらず、現代社会に蔓延する腐敗や不正義に対する痛烈な風刺となっています。高齢者たちが尊厳を取り戻すために立ち上がる姿は、観る者に深い共感と感動を与えるでしょう。この作品は、サラエボ映画祭のオープニングを飾るにふさわしい、力強く示唆に富んだ映画と言えます。