イランの映画監督シャフラム・モクリ氏の最新ミステリードラマ「ブラック・ラビット、ホワイト・ラビット」が、第30回釜山国際映画祭(BIFF)にて、第1回となるアジア映画賞(International Film Festival of India - Vision Asia Award)の最優秀作品賞を受賞しました。この賞は、アジア映画界における新進気鋭の才能への重要な評価を示すものです。
タジキスタンとアラブ首長国連邦の共同製作による本作は、その複雑でサスペンスフルな物語で映画祭の観客を魅了しました。「ブラック・ラビット、ホワイト・ラビット」は、ババク・カリミ、ハスティ・モハマミ、キブリョ・ディリョボバ、ベジャン・ダヴラトフといった実力派キャストが命を吹き込んだ3人の登場人物の絡み合う物語を描いています。釜山でのこの受賞は、「ブラック・ラビット、ホワイト・ラビット」が国際的な映画シーンにおいて有力な候補であることを示しています。
この成功に続き、本作は2025年10月21日にシカゴ国際映画祭、そしてBFIロンドン映画祭でも上映される予定です。この評価は、タジキスタンにとって初の国際長編映画部門でのオスカーノミネートの可能性も高めています。モクリ監督は、「ケアレス・クライム」(2020年)、「インベージョン」(2017年)、「フィッシュ&キャット」(2013年)など、独自のスタイルで知られる著名な映画製作者です。彼の作品は国際的な映画祭で常に注目されており、「フィッシュ&キャット」は2013年にヴェネツィア国際映画祭で、「ケアレス・クライム」は2020年にヴェネツィア国際映画祭とシカゴ映画祭で受賞しています。
アジア映画賞は、インド国際映画祭のビジョンプログラムの下で新たに設けられたもので、ユニークな映画的ビジョンを持ち、芸術的な境界を押し広げる映画製作者を称えることを目的としています。第30回釜山国際映画祭は2025年9月17日から26日まで開催され、授賞式は映画祭の終盤に行われました。この映画祭は、世界舞台におけるアジア映画の重要性の高まりを浮き彫りにし、異文化間の協力を促進しました。「ブラック・ラビット、ホワイト・ラビット」は、タジキスタンがアカデミー賞に提出した4番目の作品であり、同国が国際映画コンペティションで存在感を増していることを示しています。タジキスタンはまだオスカーノミネートを獲得していませんが、この度の受賞は前進への有望な一歩を意味します。
さらに、第30回釜山国際映画祭では、2025年9月25日に「釜山ビジョンアワード」の受賞者が発表されました。この中には、インド国際映画祭・アジア映画賞(International Film Festival of India - Vision Asia Award)の受賞者として「ブラック・ラビット、ホワイト・ラビット」のシャフラム・モクリ監督が選ばれたことが含まれています。この賞は、アジア映画界における革新的な才能とユニークな視点を称えるものであり、モクリ監督の芸術的功績を改めて裏付けるものです。この映画祭は、アジア映画の多様性と発展を祝う場となりました。タジキスタンがアカデミー賞に提出した過去の作品としては、「セックス&フィロソフィー」(2005年)や「ルナ・パパ」(1999年)がありますが、いずれもノミネートには至っていません。今回の「ブラック・ラビット、ホワイト・ラビット」の受賞は、タジキスタン映画界にとって新たな歴史を刻む可能性を秘めています。また、本作は2025年10月13日に開催されるBFIロンドン映画祭の公式コンペティション部門でも上映され、最高賞を争います。さらに、10月21日にはシカゴ国際映画祭でも上映予定です。これらの国際的な舞台での活躍は、「ブラック・ラビット、ホワイト・ラビット」が世界中の観客にその芸術性を認められる機会を広げています。