モンテネグロの映画界から、ニコラ・ヴクチェヴィッチ監督による長編映画『オブラズ』(Образ)が、国際的な成功の道を歩み続けている。この作品は先日、サンディエゴ国際映画祭において、最優秀長編映画部門の観客賞を獲得した。この受賞は、同作品にとってアメリカ合衆国でのプレミア上映となった。映画祭の主催者側は、この作品が扱うテーマの普遍性と、多様な観客層に与える感情的な影響の深さが、今回の成功を後押ししたと評価している。
『オブラズ』は、アカデミシャンであるズヴディヤ・ホジッチの文学作品を原作としている。すでにモンテネグロの代表作品として、第97回アカデミー賞(2025年)の「国際長編映画賞」部門に正式にノミネートされている。この映画は、その芸術性が高く評価され、これまでにカイロやゴアといった世界的なAカテゴリーの主要なイベントを含む、計18の国際映画祭で上映されてきた。
サンディエゴ国際映画祭が伝統的に独立系映画、深刻な社会問題、人権、そして移民問題に焦点を当てていることから、『オブラズ』は同映画祭のラインナップに選出された。この部門では、ルカ・グァダニーノ監督の作品を含む、世界各国から集まった23の国際作品と競い合った。
エグゼクティブ・プロデューサーのミロラド・ラデノヴィッチは、サンディエゴでの受賞は、この映画の芸術的価値と、世界中の観客に響く力があることの確固たる証明であると強調した。これは、モンテネグロ国内での配給に新たな展望をもたらすものだ。物語の舞台は第二次世界大戦下のバルカン半島であり、緊迫したドラマが展開される。主人公は、自身の名誉と、異なる信仰を持つ子供の命を守るか、それとも自身の家族の安寧を危険にさらすかという、究極の道徳的選択を迫られる。
監督のニコラ・ヴクチェヴィッチは、著名な映画人であり大学教授でもある。彼は以前にも2014年に自国を代表してオスカーに挑んだ経験がある。今回のサンディエゴでの快挙は、文化的な境界線を超えて、道徳的勇気に関する物語が強く人々の心に訴えかけることを示している。この作品は、ドイツのコットブスでワールドプレミアを迎え、また、サラゴサの映画祭では監督賞と脚本賞を受賞し、すでに評価を得ている。モンテネグロ、セルビア、クロアチア、ドイツの共同制作である『オブラズ』は、あらゆる試練に直面した際の人間性の維持という、普遍的な問いを観客に投げかけている。
