マリ・ラカル主演のフィリピン映画「サンシャイン」が、エストニアで開催されたPÖFFラブフィルムフェスティバルで観客賞を受賞し、国際的な評価をさらに高めました。この快挙は、同映画祭の公式サイトで発表され、観客からの映像美に対する称賛が受賞の決め手となったことが示唆されています。
アントワネット・ジャダオン監督が手掛けた「サンシャイン」は、オリンピック代表選考会を目前に控えた思春期の体操選手が、予期せぬ妊娠に直面する姿を描いています。本作は既に国際的な評価を得ており、第75回ベルリン国際映画祭でのクリスタル・ベア賞受賞や、オースティン・アジア系アメリカ映画祭での複数部門での受賞歴も持つなど、その評価は多岐にわたります。トロント国際映画祭でワールドプレミア上映された後、フィリピン国内でも公開された「サンシャイン」は、今後ニューヨーク・アジア映画祭や台北映画祭でも上映が予定されており、フィリピン映画界の国際的な認知度の高まりを象徴する作品となっています。
本作は、フィリピン国内で妊娠中絶が違法であるという社会背景の中で、自身の選択肢を求めて奔走する主人公の姿を描いています。監督のジャダオンは、このテーマについて、10代の妊娠に関する記事を読んだことがきっかけで、パンデミック中に執筆を開始したと語っています。彼女は、キャラクターを深く理解するために、実際に妊娠を経験した10代の少女たち約20人から話を聞き、また、進歩的な医師や保守的な医師、そして女性や子供の支援団体とも協力して、物語を現実に基づいたものにしました。ジャダオン監督は、この映画が、語られることの少ない現実の物語に光を当て、社会的な議論を呼び起こすことを期待しています。
「サンシャイン」は、その繊細な描写と社会的なテーマが評価され、第75回ベルリン国際映画祭では、審査員から「現代的で社会的に批判的なテーマに対する繊細な視点」と「俳優陣の演技、そして映画製作者たちが語り口で作り上げた暗くも希望に満ちた力強い雰囲気」が高く評価され、クリスタル・ベア賞を受賞しました。また、オースティン・アジア系アメリカ映画祭では、ナラティブ・フィーチャー・ジュリー・アワードとナラティブ・フィーチャー・オーディエンス・アワードの2冠を達成しました。これらの受賞歴は、フィリピン映画が国際舞台で着実に存在感を示している証と言えるでしょう。