ブラッドリー・クーパー監督作「Is This Thing On?」が2025年ニューヨーク映画祭のクロージングを飾り、アーネットとダーンが共演

ブラッドリー・クーパーがメガホンを取ったコメディ・ドラマ『Is This Thing On?』が、2025年9月26日から10月13日まで開催された第63回ニューヨーク映画祭（NYFF）のプログラムを締めくくりました。Searchlight Picturesが製作に関わった本作は、10月10日にアリス・タリー・ホールでワールドプレミアを迎えました。全米公開は2025年12月19日に予定されており、映画祭では概ね好意的な評価を得ています。

監督はブラッドリー・クーパーであり、本作は彼にとって『アリー/ スター誕生』や『マエストロ』に続く長編映画監督作品としては3作目となります。物語の中心となるのは、ウィル・アーネットとローラ・ダーンが演じる夫婦、アレックスとテス・ノヴァクです。二人は結婚生活26年を経て、関係が修復不可能な岐路に立たされたようです。この「友好的な悲しみ」を伴う別居の決断は、特に二人の息子たちの共同養育という文脈において、彼ら自身のアイデンティティと責任を再考することを迫ります。

脚本はクーパー、アーネット、そしてマーク・チャップマンによって共同執筆されました。物語の核となるインスピレーションは、イギリスのコメディアン、ジョン・ビショップの実体験に基づいています。アーネット演じるアレックスは、中年期特有の危機と離婚に直面し、ニューヨークのコメディシーンで新たな生きがいを探し始めます。彼はしばしば入場料15ドルを避けるため、コメディ・クラブ「Comedy Cellar」でキャリアをスタートさせます。2000年に妻との破局後、困難を乗り越えるためにスタンドアップを始めたビショップの軌跡が、このプロットラインの土台となっています。

主演コンビの他、アンダーソン・デイ、クリスティン・チェノウェス、キアラン・ハインズ、ショーン・ヘイズ、そしてペイトン・マニングといった豪華な顔ぶれがアンサンブルキャストを固めています。ウィル・アーネットは、自身が主演したドラマシリーズ『アレステッド・ディベロップメント』で知られていますが、本作では主演に加え、自身の制作会社Lea Picturesを通じて、クーパーやウェストン・ミドルトンと共に共同脚本家およびプロデューサーとしても名を連ねています。ジョン・ビショップ自身も製作総指揮としてクレジットされています。

批評家たちは、クーパーの演出スタイルについて、「生活感があり、丁寧に作り込まれている」と評価しており、俳優たちが複雑な内面を掘り下げられる余地を与えていると指摘しています。「胸が張り裂けそうで、心温まる、滑稽でありながらも優しい」作品だと評されています。本作は、ニューヨークのコメディ界へのオマージュであると同時に、成熟期における満たされない感情を繊細に探求する作品として位置づけられています。映画の総上映時間は121分で、撮影は2025年4月にニューヨークでクランクアップしました。