2025年10月3日から8日にかけて、トルコのボドルムでボドルム国際映画祭(BIFF)が開催されます。この映画祭は、過去の映画祭や映画産業サミットの成果を発展させ、トルコとギリシャの映画製作者間の新たな協力を育むことを目指しています。
BIFFでは、国際長編映画コンペティションに加え、両国の映画人が共同プロジェクトを生み出すきっかけとなる特別な「トルコ・ギリシャ映画交流会」が設けられます。観客は、人間ドラマ、家族向け作品、国際的に評価された名作に触れる機会を得られます。この試みは、両国の映画界における協力の歴史に新たな一章を加えるものです。1930年代のアンカラ条約以降、両国間の関係改善と共に、映画製作における共同作業や作品の輸出入が活発化し、文化交流の重要な一環となってきました。
映画祭のオープニングナイトである10月4日には、ロマ文化や音楽を普遍的なテーマと融合させた作品で世界的に知られる巨匠、トニー・ガトリフ監督が、生涯功労賞を受賞します。ガトリフ監督は、社会的不公正や政治的抑圧、社会の周縁に生きる人々の経験を深く掘り下げる作風で知られており、その芸術的視点は映画祭の精神を豊かに彩ることでしょう。
上映は、ボドルムの象徴である歴史的なボドルム城をはじめ、市内の複数の映画館で行われます。さらに、ギリシャのコス島でも関連イベントが開催される予定であり、これにより、映画祭は地理的な境界を超え、両国間の文化的な架け橋としての役割を一層強化します。ボドルム城は、15世紀に聖ヨハネ騎士団によって築かれた要塞であり、現在は水中考古学博物館として多くの歴史的遺物を収蔵しています。この歴史的建造物での上映は、映画体験に深みと特別な趣きをもたらすでしょう。コス島もまた、豊かな文化遺産を持つギリシャの島として知られ、その自治体は文化イベントに歴史的建造物を活用するなど、地域文化の振興に積極的に取り組んでいます。
BIFFは、単に映画を上映する場に留まらず、トルコとギリシャの映画産業が交流を深め、新たな共同制作の機会を創出するための重要なプラットフォームとなることが期待されています。両国間には政治的な緊張を超えた、時代を超えた深い文化的繋がりと共有された歴史が存在します。この映画祭は、映画芸術を通じて、その繋がりをさらに育み、相互理解を深める貴重な機会を提供するものです。