パリ・ファッションウィークで発表されたバルマンの2026年春夏コレクションは、クリエイティブ・ディレクター、オリヴィエ・ルスタン氏によるブランドの新たな章の幕開けを告げました。長年ブランドを象徴してきたシャープなテーラリングから一転、今回は穏やかな海辺の魅力を深くに取り入れた、流れるようなボヘミアンな美学へと舵を切りました。ランウェイは静謐なビーチの情景へと変貌し、波の穏やかなリズムを思わせるシルエットが披露されました。
このコレクションは、ルスタン氏自身の成長と、ブランドが受け継がれてきた遺産と現代的な表現を融合させるという継続的な物語を体現しています。ルスタン氏は、この新たな方向性を「コンティニュアム(連続性)」と表現し、バルマンの伝統を尊重しながらも、未来への前進を受け入れる途切れることのない糸であると語っています。その思想は、リラックスした洗練された魅力を放つサンドトーンのドレスやオフショルダーニットのデザインに如実に表れています。特に、倫理的に調達された本物の貝殻が、ガーメントやアクセサリーの装飾として丹念に組み込まれている点はユニークで、自然で職人的な質感を加えています。サッチェルバッグやベルトにあしらわれたフリンジやタッセルも、コレクションの流動的でテクスチャー豊かな魅力を一層引き立てています。
素材には、光沢のあるサテン、繊細なシルク、精巧に編み込まれたレザー、そして通気性の良いリネンなどが用いられ、これらの贅沢なファブリックに貝殻やウッドビーズがあしらわれることで、触覚的にも視覚的にも豊かな体験を生み出しています。彫刻のように削り出されたヒールは、砂丘の自然な輪郭を模倣しており、コレクションの海辺へのインスピレーションを足元からしっかりと根付かせています。自然の要素を巧みに取り入れたこれらのデザインは、ファッションにおけるよりオーガニックでマインドフルな選択への広範なトレンドを反映しています。
ルスタン氏のクリエイティブな旅は、子供時代の海辺での自由と調和への夢に深く根差しており、このコレクションはその個人的な進化を映し出しています。流れるような、軽やかな、そしてフェミニンなカットは、解放感と真正性の精神を体現し、楽な動きと自己表現を可能にします。流れるようなシルエットや自然な装飾といったボヘミアン要素の採用は、現代ファッションにおけるこの美学の再興と一致しており、ノスタルジックでありながらモダンな、高められた解釈を提供しています。
このコレクションの発表の場となった歴史的なインターコンチネンタル・パリ・ル・グランは、ルスタン氏にとって特別な意味を持つ場所でした。それは、彼が14年前にバルマンでのデビューを果たしたまさにその場所であり、この場所への回帰は、コレクションのテーマである連続性と進化を強調し、成長と芸術的な探求の旅を祝福しています。さらに、倫理的に調達された貝殻のような天然素材や職人技への注力は、ファッション業界におけるサステナビリティと責任ある調達への意識の高まりを示唆しています。バルマン全体としてのサステナビリティへの取り組みには様々な見解がありますが、このコレクションにおけるこうした要素の統合は、デザインの物語に、よりマインドフルな要素を取り入れようとする意識的な努力を示唆しています。
このコレクションは、単なる新シーズン以上の意味を持ちます。それはバルマンの新しい時代の到来を告げるものであり、豊かな伝統と新鮮なボヘミアン精神のバランスを取りながら、ファッションが憧れでありながら、自然界と深く繋がっているというビジョンを提示しています。