2025年9月7日から8日にかけて、壮大な天文現象である皆既月食が観測されます。この夜、満月は「コーンムーン」または「ブラッドムーン」として知られ、その神秘的な赤銅色の輝きで夜空を照らします。日本での皆既月食観測は、2022年11月以来約3年ぶりとなり、全国的にその全過程を捉えることができる貴重な機会です。
月食は協定世界時（UTC）で15:28に始まり、部分食を経て、17:30に皆既食が開始されます。皆既食のピークは18:11、終焉は18:52となり、その後部分食を経て20:55に終了します。日本標準時（JST）では、9月8日の未明から明け方にかけて、2:30頃から月食が始まり、皆既食は3:30頃から4:10頃にかけて観測できる見込みです。月食全体の継続時間は約5時間27分に及び、皆既食の時間は約1時間22分に達します。
コーンムーンという呼び名は、北米の先住民が、この時期に収穫期を迎えるトウモロコシにちなんで名付けたものです。これは、自然の恵みへの感謝と、季節の移り変わりを大切にする文化的な背景を示唆しています。皆既月食の際に月が赤く見えるのは「ブラッドムーン」とも呼ばれ、地球の大気層を通過した太陽光のうち、赤い光が月に届くために生じる現象です。
月食の観測には特別な機材は必要なく、肉眼で十分に楽しむことができます。しかし、より詳細な月の表面の様子や色の変化を捉えたい場合は、双眼鏡や望遠鏡の使用が推奨されます。観測に適した場所は、街明かりの少ない、空が開けた場所です。月が地球の影を通過するにつれて刻々と変化していく様子や、皆既食中の月の色合いの変化を楽しむことができます。
次回の皆既月食が日本で見られるのは2033年と予想されており、今回の機会は特に貴重と言えます。この神秘的な月の姿を目に焼き付けることで、宇宙との一体感を感じる体験となるでしょう。