欧州宇宙機関(ESA)は、2つの探査機を用いて、太陽系外から飛来した彗星「3I/ATLAS」の観測を予定しています。まず、火星周回衛星であるMars ExpressとExoMars Trace Gas Orbiterは、2025年10月3日に火星に最接近する3I/ATLASを観測します。この彗星は火星から約3000万キロメートルの距離を通過すると予想されており、詳細な研究のための貴重な機会となります。
この火星での観測後、ESAの木星氷衛星探査機(JUICE)は、木星へ向かう途中で3I/ATLASを観測します。観測期間は2025年11月2日から25日までで、彗星が太陽に最も接近する(近日点)直後に行われます。彗星の近日点は2025年10月30日頃、太陽から約1.4天文単位(AU)の距離で迎える見込みです。
彗星3I/ATLASは、いくつかの既知の恒星間天体の一つです。3I/ATLASは氷の核の周りに涙型のダストの繭を持つ彗星であることが特徴です。観測によると、彗星の核の直径は440メートルから5.6キロメートルと推定されています。
太陽に接近するにつれて、彗星はより活発になり、尾とコマが明るく拡大すると予想されます。この活動の高まりは、恒星間彗星の組成と挙動に関する貴重なデータを提供するでしょう。ESAの探査機による今後の観測は、恒星間天体とその太陽系との相互作用についての理解を深めることに大きく貢献します。これらのミッションは、彗星の組成、構造、およびダイナミクスに関するデータを収集し、太陽系外からの珍しい訪問者に関する知識を深めることを目指しています。