NASAは2025年8月19日、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測により、ウラヌスを周回する新たな衛星S/2025 U1を発見したと発表しました。この発見により、ウラヌスの既知の衛星数は29に増加しました。
この新衛星は、2025年2月2日に研究チームによって観測されました。テキサス州サウス・ケンジントンに拠点を置くサウスウェスト・リサーチ・インスティテュート(SwRI)のメリアム・メトマデイ博士率いるチームが、JWSTの近赤外線カメラ(NIRCam)を用いた観測でこの小さな衛星を捉えました。直径約10キロメートルと推定されるこの衛星は、その小ささから、1986年のボイジャー2号によるウラヌス接近時にも発見されませんでした。
S/2025 U1の軌道は、ウラヌスの中心から約56,000キロメートルの距離にあり、既存の衛星であるオフィーリアとビアンカの軌道間に位置しています。SETIインスティテュートのマシュー・ティスケアノ博士は、「ウラヌスほど多くの小さな内衛星を持つ惑星はなく、それらの環との複雑な相互関係は、環系と衛星系の境界を曖昧にする混沌とした歴史を暗示しています」と述べており、この発見はウラヌス系の理解を深めるものです。
国際天文学連合(IAU)は、今後この衛星に正式な名称を付与する予定です。ウラヌスの衛星は、シェイクスピアやアレクサンダー・ポープの作品の登場人物にちなんで名付けられるのが伝統であり、この新しい衛星も同様の命名規則に従うと考えられています。今回の発見は、JWSTの観測能力を示すとともに、太陽系の外縁部にあるこの惑星系について、まだ多くの発見が待っていることを示唆しています。