イタリアのヴェスヴィオ国立公園の一部で、標高1,050メートルに達する大規模な山火事が発生しました。高温と強風により、火災はテルツィーニョの松林とボスコトレカーゼの丘陵地帯を中心に、テルツィーニョとオッタヴィアーノの自治体間で延焼が続いています。
消火活動には、カナディア航空機6機と地域ヘリコプター2機を含む8機の航空部隊が投入されています。また、消防士、市民保護ボランティア、都市部の人員を含む100名以上の地上部隊が鎮圧に当たっています。ナポリ県は、関係当局を集結させ、緊急事態作戦のための常設調整会議を設置しました。ヴェスヴィオ国立公園の公園長は、自然遺産の保護と住民の安全確保の緊急性を訴え、状況の推移に懸念を表明しています。
この地域では、気候変動と土地利用の変化が山火事のリスクを高めており、特に乾燥した植生が密集する地中海性気候の地域では、火災の激化と広範囲化が懸念されています。2021年には、地中海地域全体で62万ヘクタール以上の土地が焼失し、その中には絶滅危惧種の動植物の生息地である保護地域10万2千ヘクタール以上が含まれていました。ヴェスヴィオ国立公園のような場所では、火災は生態系の一部ですが、近年増加しているメガ火災は、これらの生態系が対応できる範囲を超えています。
イタリアの山火事対策法(2000年11月21日付法律第353号)では、各州が火災の予測、予防、および消火活動の責任を負い、国は州の航空消火隊による消火活動への貢献を担っています。市民保護局は、統一航空作戦センター(COAU)を通じて、州の航空消火隊の調整を担当しており、これにはカナディア航空機やヘリコプターが含まれます。2025年6月15日から現在までにカンパニア州では1,060件の山火事が発生し、約2,568ヘクタールの土地が焼失したと報告されています。このような状況下では、市民一人ひとりの予防意識と、火災の兆候を発見した場合の迅速な通報が、自然遺産を守る上で極めて重要となります。