太平洋の東部海域で熱帯低気団「キロ」が発生しました。この低気圧はバハ・カリフォルニア半島の南西約1,680キロメートルの地点で形成され、最大風速65km/h(最大瞬間風速75km/h)を記録しています。現在、西へ時速15kmで移動しており、気象予報によると、9月2日頃にはハリケーン(カテゴリー1)へと発達し、プンタ・エウヘニアの南西約2,120キロメートルの地点に到達すると予測されています。
熱帯低気圧は、熱帯または亜熱帯の海洋上で発生・発達する低気圧の総称です。暖かい海水からエネルギーを得て発達し、しばしば強力な気象現象となります。世界気象機関によると、年間平均で約80~85個の熱帯低気圧が発生し、その半数以上がハリケーン級の強さにまで発達するとされています。
現在のキロの進路予測では、メキシコ本土への直接的な脅威はないと見られています。しかし、熱帯低気圧の進路や強度の予測は常に変動する可能性があるため、今後の情報に注意が必要です。気象庁は2020年9月より、24時間以内に台風に発達する見込みの熱帯低気圧について、予報期間を従来の1日から5日先まで拡大しました。これは、スーパーコンピュータシステムの更新や数値予報技術の向上により、予測精度が向上したためです。
熱帯低気圧の進路予測においては、予報円が用いられます。この予報円は、70%の確率で中心が含まれる範囲を示しており、台風の大きさを示すものではありません。熱帯低気圧が台風や温帯低気圧に変わった後も、大雨や強風、高波などの激しい現象が発生する可能性があるため、引き続き最新の気象情報に注意を払うことが重要です。キロの今後の動向を注視し、安全な対策を講じることが求められます。