アラブ首長国連邦(UAE)では、8月後半に入っても「スヘイルの苦難」と呼ばれる厳しい暑さと高い湿度が続いています。これは、夜空に輝くスヘイル星(カノープス)の出現と関連付けられており、伝統的に季節の移り変わりを示す指標とされています。
気象予報によると、この高温と高湿度の状況は9月23日の秋分の日まで続くと見込まれています。屋外での活動は体力を著しく消耗する可能性があるため、注意が必要です。特に、2025年8月1日にスワイハン(アル・アイン)で記録された51.8℃という気温は、過去9年間で最も高い記録であり、2017年8月の記録(メジライラで51.4℃)を上回るものでした。UAEの気象当局(NCM)によると、この記録的な暑さは、インドのモンスーン低気圧の影響や、内陸部が沿岸部よりも早く熱を帯びやすい地理的要因などが複合的に作用しているとされています。
スヘイル星は、アラブ社会において古くから季節の変化を示す重要な天体とされてきました。その出現は夏の厳しい暑さが和らぎ始める兆候と見なされ、伝統的に農耕や航海の日程決定に用いられてきました。現代においても、スヘイル星の観測は文化的な意味合いを持ち、多くの人々が季節の移り変わりを感じるきっかけとなっています。しかし、専門家によると、スヘイル星の出現をもってすぐに涼しくなるわけではなく、9月も依然として暑さと湿度が高い日が続くと予想されています。
真の気候の安定は、秋分の日を過ぎ、9月下旬にスヘイル星が再び観測される頃から徐々に訪れると見られています。この時期、日中の最高気温は46℃に達することもあり、特にドバイやアブダビなどの沿岸部では、高い湿度が体感温度をさらに上昇させ、疲労や倦怠感を引き起こす可能性があります。9月のUAEの平均気温は、日中で29℃から39℃、夜間は26℃から33℃程度と予想されていますが、依然として高い湿度と日差しの強さには注意が必要です。
このような厳しい気象条件下では、熱中症や脱水症状に注意が必要です。こまめな水分補給、通気性の良い服装、日中の暑い時間帯(午前11時から午後4時)の屋外活動の回避などが推奨されています。特に、高齢者、子供、持病のある人々は熱中症のリスクが高いため、一層の注意が必要です。UAEでは、過去の記録的な猛暑により健康への影響も懸念されており、適切な対策を講じることが不可欠です。
この暑さと湿度の高い時期は9月23日の秋分の日まで続くと予測されていますが、その後も徐々に気温は低下していく見込みです。10月に入ると、日中の最高気温は通常36℃を下回り、より快適な気候となることが期待されています。この季節の変わり目は、屋外でのアクティビティや文化的なイベントを計画する上で、新たな機会をもたらすでしょう。