米国議会で、イエメン沖で高速移動する未確認物体に対し、米軍のヘルファイアミサイルが発射された際の映像が公開され、大きな関心を集めている。この映像は、2024年10月30日にMQ-9リーパー無人偵察機によって撮影されたものとされ、ミサイルが物体に命中したかに見えたものの、物体は軌道を維持したまま飛行を続けたことを示唆している。
この映像は、エリック・バーリソン下院議員(共和党、ミズーリ州選出)が、未確認異常現象(UAP)に関する公聴会で「初めて一般公開される」として提示した。ジャーナリストのジョージ・ナップ氏も証言の中で、ヘルファイアミサイルがUAPに命中したものの「跳ね返っただけ」で飛行を続けたと指摘し、このような情報が議会や一般市民から隠されている現状に疑問を呈した。映像には「LRD LASE DES」という表示があり、これは一方のMQ-9がレーザーで目標を指定し、もう一方のリーパーがレーザー誘導ヘルファイアミサイルで攻撃した「バディレーシング」と呼ばれる手法を示唆している。
この出来事は、2025年3月に開始された「オペレーション・ラフライダー」と呼ばれる米軍によるイエメンへの空爆作戦の文脈の中で発生した。この作戦は、紅海における国際海運路を保護し、イランが支援するフーシ派のドローンやミサイルによる攻撃を阻止することを目的としていた。フーシ派は、ガザ地区でのイスラエルによる軍事行動への連帯を示すとして、紅海周辺の船舶への攻撃を続けていた。この地域における米海軍の活動は、第二次世界大戦以来最も激しい海戦の一つとなっている。
公開された映像は、米軍の最新技術をもってしても、未確認の飛行物体に対して完全な効果を発揮できない可能性を示唆しており、多くの疑問を投げかけている。目撃者や専門家は、現行の米軍の兵器体系ではヘルファイアミサイルの直撃に耐えられるものは知られていないと証言しており、この物体の性質や起源についての憶測を呼んでいる。国防総省の全領域異常解決室(AARO)は、UAPに関する報告の調査を継続しており、これまでに地球外起源を示す証拠は見つかっていないとしているが、未解決の事例も依然として存在する。
今回の映像公開は、UAP問題に対する議会の関心の高まりと、情報公開への継続的な取り組みを示すものである。過去の公聴会や、ジャーナリストによる長年の調査が、この分野における理解を深めるための重要な一歩となっている。未知の現象に対する探求は、人類の知識の地平を広げ、我々の世界観を新たな視点から捉え直す機会を提供するものである。この映像は、さらなる調査と、我々がまだ理解していない現実の側面についての深い洞察を促す触媒となるだろう。