英国政府は、イングランド海域の追加41カ所の海洋保護区(MPA)において、海底トロール網漁業を禁止する提案を進めています。この措置は、脆弱な海洋生態系を保護し、多様な海洋種の回復を促進することを目的としています。
パブリックコメント手続きは2025年6月に開始され、2025年9月29日に締め切られます。提案されている禁止措置は、約30,000平方キロメートルの海域を対象とし、海底砂州や泥地などの繊細な生息地を保護します。海底トロール網漁業は、海底に重い網を引きずる漁法であり、サンゴ礁の破壊や炭素を吸収する海草藻場の枯渇など、海洋環境に深刻な影響を与えることが指摘されています。この漁法は海洋生態系の基盤となる生物多様性を損ない、回復には長い年月を要する可能性があります。
環境保護団体はこの取り組みを強く支持していますが、一部の漁業関係者からは、沿岸コミュニティや漁船団への潜在的な経済的影響について懸念の声が上がっています。過去のデータによると、英国の沖合海洋保護区の90%以上で海底トロール網漁業が行われており、これらの保護区が「紙上の保護区」となっている実態が指摘されていました。
政府は、決定を下す前にすべての意見を検討します。この決定は、重要な環境保護と漁業の利益とのバランスを取ることを目指しています。国民の多くは、海洋保護区内での漁業活動、特に海底トロール網漁業に対して不満を抱いており、より厳格な保護措置を求めています。この提案は、海洋生態系の回復だけでなく、海底に蓄えられている炭素の保全にも貢献すると期待されています。
この禁止措置の拡大は、英国の海洋生物多様性の回復と、気候変動対策への貢献という点で、自然と経済の両方にとって有益な一歩となる可能性があります。国民の支持は高く、海洋保護区における海底トロール網漁業の禁止を支持する声が多数を占めています。政府は、この重要な一歩を通じて、海洋環境の持続可能な未来を築くことを目指しています。