サンパウロ大学の動物学者であるアルヴァロ・ミゴット氏が撮影した、若いクロウニ(学名:Arbacia lixula)が紅藻の上を移動する微細なビデオが、2025年ニコン・スモールワールド・イン・モーション・コンペティションで第5位に入賞しました。この映像は、小さな海洋無脊椎動物の複雑な生命への貴重な洞察を提供します。
ミゴット氏は、海洋生物学センターで漂着物を調べていた際に偶然このウニを発見しました。この映像は、ウニの繊細な管足が藻の表面を這う様子を鮮明に捉え、その自然な行動をユニークな視点から捉えています。クロウニはブラジル沿岸や地中海沿岸で一般的に見られる種で、通常は黒色ですが、幼生の時期には黒い成体とは対照的に、独特の赤みがかった色合いを示します。この事実は、ニコン・スモールワールド・イン・モーション・コンペティションの他の入賞作品と共に、科学的な芸術性と海洋生物多様性の探求を称賛するものです。
クロウニ(Arbacia lixula)は、地中海やマカロネシア諸島、ブラジル沿岸に生息する種です。通常、水深0〜30メートルの岩礁地帯に生息し、強い水流にも耐える強固な付着力を持っています。このウニは主に付着性の紅藻や小さな糸状藻を食料としており、その食性によって海洋生態系において重要な役割を果たしています。ミゴット氏の研究は、顕微鏡が海洋生物学において不可欠なツールであることを示しており、プランクトンの識別や計数、サンゴの組織分析、水質モニタリングなど、多岐にわたる研究に貢献しています。
この若いウニの映像は、私たちの足元に広がる広大な海の、まだ見ぬ世界の豊かさと複雑さを改めて教えてくれます。それは、私たちがより深く観察し、理解しようと努めるならば、どんなに小さな存在の中にも、無限の宇宙が広がっていることを示唆しています。