四川省の三星堆遺跡で実施された最新の考古学的調査により、約4,500年前に栄えた古代蜀文明の驚くべき文化的および技術的功績が明らかになっています。これらの発見は、当時の高度な文明の姿をより深く理解する手がかりを与えています。
四川省文化遺物考古研究所と北京大学の研究者たちは、炭素14年代測定法を用いて複数の祭祀坑の年代を特定しました。その結果、3号、4号、6号、8号坑は、殷(商)王朝後期にあたる紀元前1201年から紀元前1012年の間に埋葬された可能性が高いことが示唆されています。
中国とイギリスの共同研究チームは、三星堆遺跡で洗練された青銅器鋳造システムを発見しました。このシステムは、モジュール生産と一体鋳造、鍛造技術を組み合わせたもので、驚くべき革新性を示しています。特に注目されるのは、「芯金(しんきん)―条金(じょうきん)支持」と呼ばれる鋳造技法です。この技法は、遺跡で発見された有名な青銅製の神樹のような、大きくて湾曲した青銅器の構造的な課題を克服するために不可欠でした。
金製の仮面や漆塗りの青銅器といった遺物は、蜀の人々が古代中国の他の地域と活発な文化交流を行っていたことを示唆しています。これらの発見は、初期の中国文明の相互接続性と多様性を浮き彫りにします。三星堆の青銅器は、中央平原の青銅器とは異なる独自の様式を持っており、当時の技術的ネットワークの広がりを示しています。
三星堆遺跡の考古学プロジェクトは国際的な評価も受けており、2023年12月には第5回上海考古学フォーラムで「主要分野考古学発見賞」を受賞しました。現在も、三星堆研究院が主導する継続的な発掘調査と遺物保存が行われており、古代蜀文明とその中国の遺産への影響について、さらなる解明が期待されています。
さらに、近年の研究では、三星堆の青銅器に黒や赤といった鮮やかな色彩が施されていたことが明らかになっています。これらの彩色青銅器は、これまで戦国時代以降のものと考えられていましたが、三星堆での発見により、その起源が約千年遡ることが示され、中国の青銅器時代の絵画芸術の歴史を塗り替えるものです。これらの遺物は、銅、錫、鉛の合金を精密な割合で鋳造されており、当時の高度な技術力を物語っています。