2025年8月13日、ロシア極地研究所(AANII)の科学者たちは、南極大陸の中心部に位置するボストーク基地上空で、非常に明るい流星を観測しました。現地時間午後4時頃に夜空を横切ったこの現象は、30分以上にわたり鮮やかな白い軌跡を残し、その写真はAANIIのテレグラムチャンネルで公開されました。レベデフ物理学研究所の天文学センターのセルゲイ・ドロズドフ氏は、このような明るい火球の飛行経路が人口のない地域で捉えられることの希少性を指摘しています。
ドロズドフ氏は、流星の破片が地表に到達し、将来発見される可能性があると示唆しています。南極大陸は、その極端な寒冷な気候と広大な氷床により、流星物質の保存に適した環境を提供しています。過去には、南極で発見された流星物質から、太陽系初期の物質や地球外生命体の痕跡に関する貴重な情報が得られています。例えば、2023年には、約45億年前の太陽系形成初期の物質を含む可能性のある、重さ7.6キログラムの巨大な流星が発見されました。ボストーク基地は、地球上で最も低い気温が記録された場所として知られており、極端な環境下での科学観測が行われています。このような場所での流星の観測は、地球の磁気圏や大気圏の研究にも貢献する可能性があり、宇宙からの物質が地球に与える影響を理解するための貴重な機会となります。