ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、宇宙最古のブラックホールを発見し宇宙論に新たな疑問を投げかける

編集者: Tasha S Samsonova

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測により、宇宙の黎明期にまで遡る、これまでに確認された中で最も古いブラックホールが発見されました。この発見は、宇宙初期におけるブラックホールの急速な成長に関する既存の理論に挑戦するものです。このブラックホールは、ビッグバンからわずか5億年後の宇宙に存在したCAPERS-LRD-z9という銀河の中心に位置しており、その赤方偏移はz=9.288と観測されています。当初、この銀河の異常な明るさは活発な星形成によるものと考えられていましたが、詳細な分析の結果、その光はブラックホールに吸い込まれる高温のガス円盤からのものであることが判明しました。

このブラックホールの質量は太陽の約3億倍と推定されており、これは天の川銀河の中心にあるいて座A*の約10倍に相当します。さらに、このブラックホールは母銀河の総恒星質量の約5%を占めており、これは現代の銀河における比率よりも著しく高いです。この事実は、初期のブラックホールが驚異的な速度で成長したか、あるいは当初から予想以上に大きな質量を持って誕生した可能性を示唆しています。研究チームの一員であるアリゾナ大学のセイジ・フジモト博士は、「これは確認された中で最も古いブラックホールであり、これまで見たことのない宇宙の時代への窓を提供してくれます」と述べています。また、研究共著者であるレベッカ・テイラー博士は、「私たちは最近まで初期ブラックホールの進化を研究することができませんでしたが、このユニークな天体から何を学べるかを見るのが楽しみです」とコメントしています。この発見は、通常、数十億年かけて徐々に成長すると考えられている現在のブラックホール形成モデルに疑問を投げかけ、巨大なガス雲の直接崩壊のような、これまで考えられていなかった形成メカニズムの存在を示唆しています。

CAPERS-LRD-z9の周囲にある高密度のガス雲が、赤方偏移現象によって放出光をより長い、より赤い波長にシフトさせている可能性も指摘されています。この効果と銀河の極端な距離が、その独特な色合いに寄与していると考えられます。この発見は、宇宙の初期におけるブラックホールと銀河の形成および進化に関する理解を深める上で重要な一歩となります。JWSTによる今後の詳細な観測により、宇宙の起源と進化に関する私たちの理解はさらに塗り替えられていくことでしょう。例えば、2024年には、ビッグバンからわずか4億年後の宇宙に存在するGN-z11銀河の中心にあるブラックホールが発見されており、これもまた初期宇宙におけるブラックホールの巨大さを示唆するものでした。これらの発見は、初期宇宙におけるブラックホールの形成メカニズムに関する新たな理論的枠組みの構築を促しています。

ソース元

  • News Directory 3

  • CAPERS-LRD-z9

  • Astronomers Discover an Uncommon Way for Black Holes to Form

  • Webb telescope spots galaxy at pivotal moment in the early universe

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