南極で120万年前の氷を採取:地球の気候変動の謎を解き明かす

編集者: Tasha S Samsonova

国際的な科学者チームが南極大陸の深部で2.8キロメートルに及ぶ氷床コアの掘削に成功し、少なくとも120万年前の氷を採取するという歴史的な偉業を達成しました。この発見は、地球の大気と気候の進化を長期にわたって理解するための貴重な手がかりとなります。

「Beyond EPICA」プロジェクトとして知られるこの取り組みは、イタリア国立研究評議会極地科学研究所のカルロ・バルバンテ氏が統括しています。これまでの最古記録は80万年前の氷床コアでしたが、今回の掘削によりその記録はほぼ倍増しました。掘削はコンコルディア研究基地近くのリトルドームCで行われ、16名の科学者と支援スタッフが平均気温約-35℃の環境下で4回の夏を費やして作業にあたりました。イタリアの研究者であるフェデリコ・スコト氏をはじめとするチームは、1月初旬に掘削を完了し、「基盤岩に到達したときは、私たちにとって素晴らしい瞬間でした」とスコト氏は語っています。同位体分析により、採取された氷が少なくとも120万年前のものであることが確認されました。

この氷床コアは、地球の気候進化における重要な時期である「中期更新世遷移(Mid-Pleistocene Transition)」の時代に閉じ込められた微細な空気泡を含んでおり、タイムカプセルのような存在です。この時期、地球の氷期サイクルは4万1千年周期から10万年周期へと変化しました。この変化の原因を解明することは、気候変動の理解に不可欠です。採取された氷サンプルには、二酸化炭素やメタンといったガスだけでなく、100万年以上前の風、気温、海洋に関する情報を提供する可能性のある微量の塵、火山灰、微生物、粒子も含まれています。

英国南極調査所(BAS)や他の10カ国11機関の研究者たちは、このコアを分析するために革新的な技術を使用します。それは、氷をゆっくりと融解させながら、各層の化学組成をリアルタイムで測定するというものです。この研究は、過去の気候年代記を前例のない精度で再構築し、なぜ氷期サイクルが100万年以上前に10万年周期へと移行したのかを理解することを目的としています。最終的な目標は、過去の再構築だけでなく、現在の気候変動モデルと比較することです。研究によると、氷の融解は重大な自然災害につながる可能性があります。100万年以上前には現在と同様の温室効果ガスレベルが存在していましたが、気候の挙動は異なっていたため、今日の気候に影響を与える他の要因を明らかにすることを目指しています。

この発見は、地球のサイクルを研究し、その知識を将来の出来事を予測するために活用する機会を提供し、より効果的な気候変動対策、より良い災害予測、そして適応戦略の改善につながるでしょう。特に、中期更新世遷移期における南極氷床の成長が、北半球の寒冷化を誘発し、この気候の転換点をもたらした可能性が示唆されています。

ソース元

  • okdiario.com

  • Historic drilling project finds ice over 1.2 million years old - British Antarctic Survey

  • Momentous ice core drilling campaign retrieves 1.2 million-year-old ice | Department of Earth Sciences

  • Australia's search for Antarctica's oldest ice – Australian Antarctic Program

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