トルコ中央部、コンヤ平原に位置するチャタルホユック遺跡では、継続的な発掘調査により、ビザンツ時代の墓と新石器時代の複雑な儀式活動を示す新たな発見が相次いでいます。このユネスコ世界遺産に登録されている新石器時代の集落は、約9,000年前から人々が暮らし、人類史上最も初期の都市的実験の一つとして知られています。
アナドル大学考古学科のアリ・ウムト・テュルクキャン准教授が率いるチームは、チャタルホユックの西側の丘でビザンツ時代の墓を発見しました。これらの墓は、アドベ(日干しレンガ)や平石で造られた部屋状の墓、様々な模様を持つレンガ造りの墓など、多様な形態を示しており、同じ地域に集中して存在していました。これらの墓は新石器時代の層とは直接関連はありませんが、当時の埋葬習慣や社会構造の一端をうかがわせるものです。
一方、ポズナン大学先史学科のアルカディウシュ・マルチャニアク教授が率いる東側の丘の発掘調査では、新石器時代の住民の儀礼的慣習や社会構造に関する貴重な洞察が得られています。特に注目されるのは、「霊的な家」または「死者の家」と呼ばれる場所で、床下に丁寧に配置された20体の人骨の断片が発見されました。これは、単なる埋葬ではなく、特別な儀式を伴う行為であったことを示唆しています。さらに、壁に様々な模様が描かれ、14のプラットフォームを備えた大規模な儀式用構造物も発見されており、今後の発掘調査への期待が高まっています。
チャタルホユックの建築様式は、社会組織の変化も反映しています。遺跡の下層では密集して隣接する住居配置が見られ、共同体的な生活様式を示唆していますが、上層に進むにつれて建築デザインに差異が見られ、時間の経過とともに社会構造が進化していったことが示されています。最近の遺伝子研究(2025年発表)では、母系社会であった可能性も示唆されており、女性が社会の中心にあったことがDNAレベルで裏付けられています。これらの発見は、古代社会の複雑な人間関係や文化的な発展のあり方を深く理解する機会を与えてくれます。