NASA PUEO検出器は、2016年と2018年に検出された謎の電波信号を調べるため、12月に南極大陸から打ち上げられます。
NASA、2025年12月に南極でPUEOとGAPS気球ミッションを実施へ
編集者: Uliana S.
NASAの科学ミッションによる長期滞在型気球プログラムが、2025年12月上旬に開始予定の観測キャンペーンのため、再び南極大陸へ戻ります。打ち上げ作業は、米国科学財団(NSF)がロス棚氷上で管理するマクマード基地近郊の施設から実施される見込みです。今回の遠征は、宇宙物理学と宇宙論の根本的な問いに挑む二つの重要なミッション、すなわち「超高エネルギーニュートリノ観測検出器」(PUEO)と「一般反粒子スペクトロメーター」(GAPS)を支援するものです。
NASA バルーン長期滞在キャンプは、アメリカ合衆国から約8マイルの場所にあります。National Science Foundation の McMurdo Station は南極大陸の Ross Ice Shelf にあります。
PUEOミッションは、NASAの「天体物理学パイオニア計画」で最初に打ち上げられるプロジェクトであり、遠方の宇宙現象から飛来する超高エネルギーニュートリノの痕跡を捉えることを目的としています。この装置は、巨大な検出器として南極の氷床を利用し、ニュートリノが密度の高い氷と相互作用する際に発生する電波信号を探します。PUEOプロジェクトの主任研究員はシカゴ大学のアビゲイル・ヴィレッグ氏が務めています。このミッションは、先行するANITAプログラムを10 EeV(エクサ電子ボルト)の範囲で一桁上回る感度を達成し、ニュートリノ検出において世界最高水準の能力を提供することを目指しています。
一方、GAPS実験は、全物質の80%以上を占めるとされる未知の物質、ダークマターの起源を特定することに焦点を当てています。この観測機器は、特にダークマター崩壊の指標となり得る低エネルギーの宇宙反核子、具体的には反重陽子のフラックスを精密に測定するように最適化されています。このエネルギーレベルでたとえ一つの反重陽子が検出されたとしても、それは新しい物理学の決定的な証拠となり得ます。なぜなら、この低エネルギー域における反重陽子の天体物理学的なバックグラウンドは、ダークマターからの信号の可能性よりも遥かに低いと予測されているからです。
両ミッションが長期間の飛行を可能にするため、周囲の大気と釣り合うように設計された「無支持気球」が採用されます。これは、高度を上げるにつれてガスを放出して浮力を調整する仕組みです。この設計に加え、南極の循環パターンと、南極の夏の間続く途切れない太陽光が、これらのプラットフォームを長期ミッションに適したものにしています。NASAの科学気球プログラム全体はウォロップス飛行施設が統括しており、ミッション計画と現地での運用はPeraton社が担当しています。これらのミッションに使用される気球本体はAerostar社によって製造されています。
GAPS実験は過去にも試験飛行を重ねており、2004年と2005年にはKEK加速器での地上試験を実施し、さらに2012年6月にはプロトタイプ気球(pGAPS)による飛行試験に成功しています。今回の南極キャンペーンの成功は、NSF、ニュージーランド政府、そしてアメリカ空軍との緊密な連携にかかっています。この一連の活動には、サウター試験飛行ユニバーサル(Salter Test Flight Universal)のような技術実証のための打ち上げも組み込まれています。これらのミッションを通じて収集される極めて重要なデータは、我々の宇宙の構造に対する理解を根本から変える可能性を秘めています。
ソース元
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