クイーンズランド州のポウランナ州有林において、コフサフサミミバンディクート(Northern hairy-nosed wombat)の幼獣が母親の袋の中で確認されたことが報告された。これは、新たに設けられた生息地における個体群の定着が順調に進んでいることを示す、注目すべき保護の成果であり、絶滅の危機に瀕するこの種にとって明るい兆しとなっている。
この第三の生息地は、クイーンズランド州政府がエッピング・フォレスト国立公園から36頭のバンディクートを移送し、2024年に設立された。この移住計画は、かつてオーストラリア東部に広く生息していた同種を絶滅の瀬戸際から救い出すための長年の取り組みの集大成である。同種は生息地の破壊などにより、1980年代にはクイーンズランド州でわずか35頭にまで激減していた。
ポウランナ州有林は、捕食者から守るためのフェンス、水資源の整備、初期の巣穴の準備など、彼らの生存を支える基盤が整えられた上で選定された。この場所は、バンディクートが広大な巣穴を掘るのに適した砂と粘土の特定の比率を持つ土壌特性を有しており、2800ヘクタールの広さを持つ。2024年5月には、最初の15頭(オス5頭、メス10頭)が中央クイーンズランドから輸送され、健康診断とGPS首輪の装着が行われた。
今回の出産は、これらの保護努力が実を結び、自立した個体群を確立する上で重要な指標と見なされている。この保護活動は、エッピング・フォレスト国立公園での自然個体群を400頭に押し上げ、2009年にリチャード・アンダーウッド自然保護区に第二の個体群を設立した実績の上に成り立っている。ポウランナへの移住は、今後数年間で最大60頭を段階的に移す計画の一部である。
2025年8月時点までに、エッピングからポウランナへの移送は4回成功し、最新の移送でさらに11頭が加わり、総数は37頭(メス21頭、オス16頭)に達している。コフサフサミミバンディクートは依然として世界で最も希少な哺乳類の一つであり、この多角的なアプローチは、単一の場所への依存度を減らし、種の存続可能性を高めることを目指している。この計画の最終目標は、既存の個体群を維持しつつ、遺伝的多様性を最大化し、最終的に250頭を支えられる新たな野生個体群を創出することである。
