世界中の金融市場は、連邦準備制度理事会(FRB)議長ジェローム・パウエル氏がジャクソンホール経済政策シンポジウムで行う講演に注目しています。投資家は、特に9月の利下げの可能性について、パウエル議長の言葉から金融政策の転換点を示唆する手がかりを得ようとしています。米ドルは1週間ぶりの高値圏で安定しており、市場の関心はFRBの今後の金融政策の方向性に集まっています。
アジア市場では、日本市場の日経平均株価が0.6%下落した一方、韓国市場のKOSPIは0.9%上昇するなど、まちまちな動きが見られました。これは、米国の金融政策の動向がアジア市場にも影響を与えていることを示唆しています。J.P.モルガン・リサーチによれば、ドル安と貿易政策の正常化、AIによるイノベーションが、割安なアジア株にとって「完璧な嵐」を生み出しているとのことです。中国の深セン市環境技術有限公司や日本のAI企業であるラクスの株価は、それぞれ23%から28%の利益成長率を背景に、13%から21%の公正価値割引で取引されていると指摘されています。
パウエル議長の講演は、市場のセンチメントに大きな影響を与える可能性があります。TDセキュリティーズは、パウエル議長が労働市場のダウンサイドリスクの高まりを指摘し、緩和的な姿勢を示唆する可能性があると見ています。市場は9月の利下げ確率を約80.9%と見ていますが、これは先週の94.3%から低下しています。この講演は、利下げのタイミングと規模に関する手がかりを提供するものと期待されています。
過去のジャクソンホールでの講演は、しばしば金融政策の大きな転換点を示唆してきました。インフレ率がFRBの目標である2%を上回る水準で推移している一方で、労働市場の軟化も見られるため、FRBはインフレ抑制と経済成長支援という二重の責務の間で難しい舵取りを迫られています。この状況下でのパウエル議長の言葉は、今後の市場の方向性を左右する重要な要素となるでしょう。