8月12日、米国の株式市場はインフレ率の鈍化を示す経済指標を受けて大幅に上昇し、主要指数は記録的な水準に迫りました。S&P 500種株価指数は0.6%高、ダウ工業株30種平均は251ポイント(0.6%)上昇し、ナスダック総合指数も0.7%の上昇を記録しました。この市場の活況は、同日発表された7月の消費者物価指数(CPI)が年率2.7%の上昇にとどまり、市場予想の2.8%を下回ったことが主な要因です。特に、食品とエネルギーを除くコアCPIは年率3.1%の上昇となりましたが、全体的なインフレ圧力の緩和は、連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利下げ期待を高めました。市場では、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率が前日の86%から94%に上昇しました。FRBは2024年12月以来、政策金利を4.25%~4.50%のレンジで据え置いています。
さらに、米国が中国への関税引き上げを90日間延期するという決定も、世界的な市場センチメントを押し上げました。この貿易摩擦緩和の動きは、日本経済新聞(日経平均株価)を2.1%上昇させ、韓国のKOSPI指数も0.5%上昇させるなど、アジア市場にも好影響を与えました。個別銘柄では、インテルが1.5%上昇しました。これは、トランプ大統領が同社に対して肯定的なコメントを発したことが好感されたためです。今回のインフレデータは、FRBがインフレ抑制と雇用最大化という二つの責務の間でバランスを取る中で注目されていました。インフレ率が予想を下回ったことで、景気下支えのための金融緩和策への道が開かれたとの見方が広がっています。しかし、コアインフレ率の上昇や、大統領による利下げ圧力、そして貿易政策の不確実性など、依然として市場には注視すべき要因が残されています。