インド資本市場の深化:イノベーションと規制強化による成長

編集者: Olga Sukhina

インド証券取引委員会(SEBI)は、2025年8月に開催された年次会議で、イノベーションとテクノロジーを活用した資本市場の深化に向けた取り組みを発表しました。SEBIのトゥーヒン・カンタ・パンデイ委員長は、IPO前の企業間株式取引を可能にするパイロットプログラムの導入を提案し、市場の流動性向上と参加者拡大を目指す考えを示しました。これは、インドが2047年までに先進国となるという国家目標達成に向けた、資本市場の役割強化の一環です。

インドの資本市場は世界第4位の規模を誇り、1億3000万人の投資家が参加しています。2025会計年度にはプライマリー市場で4兆3000億ルピーが調達され、過去3年間でキャッシュマーケットの取引量は倍増しました。投資信託資産は10年間で6倍以上に増加し75兆ルピーを超え、家計貯蓄の増加を示唆しています。業界からは、ETFの拡充、債券市場の発展、REITやInvITsといった新たな資産クラスの導入が提案されています。

インド証券取引所(NSE)は、1日あたり200億件以上の取引を処理し、ナノ秒単位の応答時間を達成しています。市場全体の時価総額は450兆ルピー(5兆2000億ドル)に達し、30年間で125倍に増加しました。特に個人投資家の参加が7倍に増加しており、市場の裾野の広がりを示しています。2億件を超えるデマット口座の80%が地方都市からのものであり、市場へのアクセスが民主化されていることがうかがえます。

投資家保護とサイバー詐欺対策のため、SEBIは2025年10月1日からUPI(ユニファイド・ペイメンツ・インターフェース)の検証システムを導入します。これにより、登録された仲介業者のみが利用できる「@valid」という接尾辞を持つUPI IDが使用されます。また、AIの導入も進められており、説明責任を伴う厳格な管理体制が敷かれます。SEBIは、規制の簡素化と投資家保護の両立を目指しており、2025年3月から6月にかけて、上場企業、代替投資ファンド(AIF)、外国ポートフォリオ投資家(FPI)に対する事業運営の円滑化に関する提案を承認しました。

世界的な経済の不確実性にもかかわらず、インドの資本市場は、インフラ投資やデジタル変革を資金面で支え、国家の成長を牽引していくことが期待されています。特に、テクノロジーの活用は、市場の透明性を高め、取引コストを削減し、より多くの個人投資家が参加しやすい環境を整備する上で重要な役割を果たしています。2025年8月には、SEBIは不正な仲介業者による詐欺を防ぐため、「SEBI Check」というアプリも開発中で、投資家が取引前に仲介業者の正当性を確認できるようになります。これらの取り組みは、インドが2047年までに先進国となるというビジョン達成に向けた、資本市場のさらなる発展と深化を後押しするものです。

ソース元

  • newKerala.com

  • Ketelsen.ai

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