2025年、デザインソフトウェア業界の巨人であるフィグマとキャンバが、活況を呈するテクノロジーIPO市場をリードしています。フィグマは新規株式公開(IPO)初日に株価が250%急騰し、終値は115.50ドル、時価総額は471億ドルに達しました。この驚異的なパフォーマンスは、2023年にアドビによる200億ドルの買収提案が規制当局の懸念により阻止された際の評価額を大幅に上回るものです。
オーストラリアのデザインソフトウェア企業であるキャンバも、2025年8月の従業員持株売却を通じて、その評価額を420億ドルに引き上げました。これは、2024年10月時点の320億ドルから顕著な増加であり、JPMorgan Asset Managementなどの投資会社からの関心が高まっていることを示しています。キャンバはAIを活用したツールの拡充を進め、競合他社であるアドビに対抗する姿勢を見せており、AI搭載の写真編集ツールを導入し、企業顧客の獲得を目指しています。
2025年半ばまでに、IPO市場全体で137件の新規公開があり、調達額は226億ドルに達しました。特に1億ドル以上の大型案件では、初値からのパフォーマンスが19%増加しており、テクノロジーセクターに対する投資家の信頼が堅調であることを裏付けています。フィグマのIPOは、規制当局による大型合併阻止の動きが、結果的にイノベーションと競争を促進する可能性を示唆する事例とも見られています。
フィグマのIPO成功は、テクノロジー業界における新たな成長の可能性を示唆しており、投資家はこれらの企業の今後の動向に注目しています。特に、フィグマのIPOは、過去30年間で10億ドル以上を調達した米国上場企業の中で最大の初値上昇率を記録しました。これは、市場が成長性の高いテクノロジー企業に対して強い関心を持っていることを示しています。