2025年10月10日、暗号資産XRPは市場の激しい変動に見舞われ、取引開始時の水準2.82ドルから一時的に42%も急落し、1.64ドルまで値を下げました。この急激な価格調整は、大規模な強制決済(リクイデーション)の連鎖反応と、リップル社が申請していた国内信託免許の期限(10月7日)を巡る規制上の不透明感が重なったことが引き金となりました。
当日の取引において、XRPは2.70ドル、そして2.50ドルという重要な支持線を次々と割り込みました。特に協定世界時15:00から21:00の間で清算が集中し、時間あたりの取引量が8億1760万XRPに達するという異例の事態を記録しました。この売り圧力は、機関投資家の先物建玉(オープンインタレスト)が1億5000万ドル減少したこととも関連しています。しかし、この激しい売り圧力の終盤、取引終了間際の15分間で1200万XRPを超える買いが入り、価格は2.35ドルから2.40ドルの水準で一時的に持ち直しました。翌10月11日には2.45ドルで取引され、前日終値からは13.12%の下落でしたが、当日の安値1.89ドルからは回復を見せています。
市場の構造分析によれば、XRPは75日間の対称三角形パターンを下方にブレイクしたと見なされており、構造を回復するには2.90ドルを上回る終値が必要とされています。この出来事は、市場参加者が抱える「確実性」への渇望を浮き彫りにしました。ビットコイン(BTC)が12万ドル近辺で取引され、市場がFRBの利下げをほぼ確実視する中で、XRPの動向は、規制の明確化が機関投資家の資本流入の鍵であることを示唆しています。実際、2025年第3四半期には、米国の規制明確化が暗号資産ベンチャー資金調達を押し上げ、2021年以来最も強い四半期を記録しました。これは、市場の勢いが単なる投機ではなく、予測可能な枠組みによって形作られ始めている証左です。
大口保有者(クジラ)による3億2000万XRPの取引所への移動が示唆するように、一部のプレイヤーは資産の再配置を進めていました。この急落は、市場の過剰なレバレッジと、外部の状況(規制)に対する過度な反応が、いかに瞬時に大きな流れを生み出すかを示しています。市場のボリューム急増は一種の「降伏」の様相を呈しましたが、その後の買い戻しは、この資産に対する根強い関心も同時に示しています。今後の焦点は、大口保有者が2.30ドルの支持帯で蓄積を継続するか、そして先物建玉がどのように再構築されるかに移っています。